ポールキャスナー 薪ストーブのある生活

日本における草分け的存在が贈るカントリーライフの提案。薪ストーブにまつわる様々なストーリーをお届けします。

バーモントキャスティングス40周年記念

2015年8月18日、バーモント州ランドルフで40thアニバーサリーのイベントが開催されました。
バーモントキャスティングスの鋳物工場前の広場で、嵐雲の下に張られたサーカステントが会場でした。


オリジナルデファイアント。うしろでは鋳物工場に虹がかかりました。

特別ゲストはバーモントキャスティングスの創立者ダンカン・サイムさんと薪ストーブのデザイナー、バーンス・スミスさん。
本当に久しぶりでした。


バーンスさん(左)とダンカンさん(右)。

二人はバーモントキャスティングスを設立したころのことやストーブの開発理念のことを熱心に話してくれました。
ダンカンさんの記念スピーチでは、最初のストーブを開発した経緯を話してくれました。


ダンカンさんと記念写真!

 

創立者ダンカンさんが語る開発当時の想い

「当時はオイルショックで、ガソリンスタンドに2時間以上並ぶ時代でした。
暖房は石油が主だったので、燃料が一般の人の手に届かず問題になっていました。
仕方がなく家で19世紀のアンティークストーブで暖をとっていましたが、燃費が悪く暖房効率も悪かった。
ビジネスパートナーのマリー・ハウエル氏に『今から薪ストーブの時代がくるので、自分たちの欲しい薪ストーブを作って販売しよう!』。
それで始まった!

私は炎を見つめることはアットホームで快適、寒さから優しく身を守ってくれる安心感がストーブの本質だと思っています。
ストーブ名がその通り『冬をデファイ(無視)します。
だからデファイアント(決して信念を曲げない)です」。
また、私にとっては3つの条件がないと薪ストーブになりません。

➊ 密閉型でないといけない。つまり効率がよいストーブ
➋ 飽きがこない美しいデザイン
➌ ファイヤープレース機能、つまりオープンファイヤーで楽しめなければならない 

ユーザーは使わなくてもファイヤープレース機能がないといけないと考えました。
だから両開きドアをつけました。
当時密閉型ストーブも市販されていましたが、全てがシガー型でした。
美しいデザインのストーブもフランクリン型のファイヤープレースもありました。     
しかしその3つの機能を持つものがありませんでした。
シガー型のストーブでは炎を楽しめないですし、フンラクリンでは効率が悪い。
ファイヤープレース機能を生かすためにシガー型の側面をフロントに変えて、両開きドアをつけたらデファイアントが生まれました。

私が使っていた19世紀のストーブはグレンウッド(Glenwood)でした。
それには骨組みの柱となる4本のタイロッド、ドアラッチ、インターロック構造などがあり、参考にしました。


ダンカンさんが使用していたグレンウッドの薪ストーブ

ストーブのユーザーたちが私のストーブを買ったら思ったよりいいものと思ってほしかった。
カタログの表現以上に素晴らしいものと思ってほしかった。
そしてユーザーの満足が第一であることが理念です。
自分が買い物をした時に自分が求めるサービスをお客様にサービスすること。

あの時から40年が経ちました。
そして当時の私と同じ想いを持っているリカルド社長を始め、全てのバーモントキャスティングスの製造関係者も販売の関係者も、次の40年に向かってより素晴らしい薪ストーブの開発が続くと信じています」。


現社長のリカルドさんと。

 

薪ストーブのデザインを手がけたバーンスさん

バーンス・スミスさんは、イントレピッドの生みの親であり、アンコールやデファイアントの外観デザインも手がけたデザイナーです。


40周年記念グッズのVigilantesグローブをプレゼント。
記念Tシャツに描かれたピストルのオリジナルデザインも彼女のものでした。

1970年、建築専門学校に入り、デザインと設計を専攻し、1973年に始まったオイルショックで、エネルギー資源のことに興味を持ったそうです。

「当時、バーモント州にあるゴダード大学に入り、エネルギーに興味を持つ仲間と知り合いました。そしてそのころダンカンさんにストーブのデザインをパートで手伝いに来てほしいと言われたのです。
まだバーモントキャスティングスというものではなく、彼らの木工所でデファイアントの木型創りを手伝いました。
その後、大学に戻り、修士を受けました。

私の最大の関心は再生エネルギーです。
そして私はデザイナーですので飽きがこない美しいものを作りたい。
だから薪ストーブのデザインをしてきました。
第1が再生エネルギー、そして第2はかっこいいものを見たい、そして作りたいのです。

リカルド社長から連絡があり、次の時代のバーモントキャスティングスの新しいストーブの開発に関わってほしいと誘われました。
情熱を傾けてきたエネルギーとデザインの仕事を再びできることをとても楽しみにしています」。


『薪ストーブの本』でおなじみのお料理をするママは、バーンスさんのイラストです。
彼女の優しさが伝わってきます。


1979年のレゾリュートの背面の鋳物。
バーンスさんによるバーモントキャスティングスの会社の風景の絵が刻まれていました。

普段壁側の見えないところにこんなに凝ったこだわりが。
左下に雪だるま作りやソリ遊びをする子供がいますね!


当時の画期的な「水平燃焼システム」の説明入り広告です。


当時の広告 “Energy-Saver” 「エネルギー節約」がキーワードでした。


「上昇する石油の燃料代の代わりに薪が楽しいことについて・・・」


ランドルフ鋳物工場にて。
バーンスさんの話に出てきたオリジナルデファイアントの木製鋳型。
左は工場長のマイクさん。




デファイアントの木製鋳型:VERMONT CASTINGS L.H.END DEFIANT

当時は職人が家具や彫刻と同じく1つ1つ部品を手作りで作り上げた。
現在はCADやCNCの機械が多いです。
バーモントキャスティングスも最新技術の機械を使っていますが、それでもまだ職人の手も加えています。
やはり人の手で作ったものは味が違います。

40年の長きに渡り最新の薪燃焼エンジンを開発するバーモントキャスティングスの技師たち。

 

40周年記念グッズのストーリー

1975年の創設から今年で40周年なのでファイヤーサイドから楽しい記念グッズを作りました。
その一部のストーリー。


ビジラントのクッキンググリドルにバーモントの風景が描かれた珍しい品をオークションで手に入れました。
このグリドルは1つしかないかもしれない。
よく見ますと40周年記念復刻版Tシャツとほぼ同じ風景ですね!


40周年記念復刻版Tシャツの絵


40周年記念復刻版TシャツとオリジナルTシャツ(左) 


ファイヤーサイドで作った30周年、35周年そして40周年のTシャツ・・・
40周年のTシャツは今発売中です。
» 復刻グリーンマウンテンTシャツ
» 復刻ビジランテズTシャツ


バーモントキャスティングスはベンチも製造していたことをご存知でしょうか?
バーモント州の町の公園などにたくさん利用されています。
この写真はZcoo-Shopのデッキのベンチとチェアです。
20年以上使っているが、まだまだ綺麗ですね。
一度も塗り直していません!
今年このベンチを復活製造することになるらしい。


ベセルの町にありました!ちょっとサビが出ています!綺麗にしてほしい。


BETHEL VERMONT ESTABLISHED 1779


バーモントキャスティングスのオリジナルロゴマークがこの絵から始まった。
元々の本社の工場は農機具の製造所でした。
この絵は1800年代のその農機具工場の風景


バーモントキャスティングスのオリジナルロゴ


バーモントキャスティングスのショールームの看板


バーモントキャスティングスの当時のオリジナルショールーム


木のモザイク画が現在のバーモントキャスティングスの玄関に飾ってあります。


アンコールの展示台に現在のロゴ


私が愛用しているデファイアントブラスベルトバックル(右)を40周年のために復活しました。
オリジナルより一回り大きくなりました。限定250個です。

1986年にアメリカの環境局の基準が厳しくなり、オリジナルデファイアントが製造中止となりました。
LAST OF THE DEFIANTSの記念パーティーが行われました。
その時最後の一台をダンカン社長がステージで組み立てました。
その最後の1台がスミソニアン博物館にあります。
私がLAST OF THE DEFIANTSの記念ビールを持ってる。


そのビールタグの絵を利用して40周年記念ピンバッジを作りました。


限定250個です。


田渕義雄さん編集、日本のロングセラー「薪ストーブの本」のオリジナル版「The BOOK of HEAT」


この本を出版した時に、ダンカン・サイムさんのサイン入り本が限定250冊作られました。


ファイヤーサイドのショールームのバーモントキャスティングス博物館コーナーで飾っています。
是非バーモントキャスティングス博物館コーナーにお立ち寄りください。
お待ちしております。


当時のオリジナルデファイアント本体の梱包材の絵柄です。

 

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