ポールキャスナー 薪ストーブのある生活

日本における草分け的存在が贈るカントリーライフの提案。薪ストーブにまつわる様々なストーリーをお届けします。

My best friend 寂しいよ、田渕義雄さん

ありがとう。さようなら。

32年前に薪ストーブの販売を始めた頃に私が出会った恩師、田渕義雄さんの訃報に涙が止まらない。
知り合う前からお花や野菜を作ったり、手作りでジャム、トマトソースの瓶詰め、ピクルズ作り、木を倒して薪を割っていました。
人が同じような暮らしをしていて共通点が多くて仲良しの友人になりました。
田渕さんは知恵が深く、たくさんの知識を私に与えてくれました。
二人で夜遅くまで哲学や夢の話をよくしました。
田渕さんは美しく暮らしていました。
多くの人たちが田渕さんの著書に影響されました。
彼の本を読んで都会を離れて田舎暮らしを始めた人は少なくない。

二人でアメリカに渡り、「薪ストーブの本」の著者ステファン・モリス氏に会って日本語版の権利の交渉の時、通訳をした。
モリス氏はバーモントキャスティングスの営業部長でもありました。
その時、日本の代理店になりたいという要望も話しました。
その後、バーモントキャスティングス日本語版の初カタログを作った時、全て田渕さんが監修してくれた。もちろんコピーも田渕さん。
その後長い付き合いになり、一緒にアメリカの旅に行き、メイン州のトマスモーザーのシェーカーチェアに出会いました。その後、田渕さんはチェアの制作を一生懸命しました。

フライフィッシング、登山、ロッククライミング、クロスカントリースキー、ガーデニング、自給自足、道具の大切さ、使い方、手入れの仕方…たくさんの会話をしました。
日本初の薪ストーブイベント「薪ストーブ大学」をストーブハウスさんで行い、講師として二人で薪ストーブの夢を盛り上げました。
二人が同じことを考えていて、私の人生の中の友人というのか、ソウルメイトと言える人でした。

最近は会える機会は少なくなっていました。
具合が悪いと聞いて昨年の暮れに会いに行きました。
「ポール来てくれた、ありがとう」と嬉しそうに。
昔話と今後やりたいことなどお互いに話していた。
最後になると思いませんでした。
義雄さん、寂しいよ。
 


アメリカ ボルチモアで開催されたWHA(ウッドヒートアライアンス)の展示会に一緒に行きました。
「薪ストーブの本 The Book of Heat」の日本出版権利契約の打ち合わせの時です。


「The Book of Heat」


日本語版。用語のアドバイザーとして私も手伝いました。


山と渓谷社・F.G.武蔵が出版したWoody Lifeの10周年記念イベント。スーツを持っていなくて田渕さんさんからオーバーオールを借りた。


ファイヤーサイドの初期のバーモントキャスティングスカタログの表紙。


COLD MOUNTAINのキッチン。田渕さんのお料理が美味しかった!


田渕さんの家から望める廻り目平。愛犬のジロと。


一緒に中央アルプス、八ヶ岳にたくさん登山しました。
木や鳥の名称やその特徴の知識が豊富で、いっぱい教えてくれた。


私たちはストーブハウスの「薪ストーブ大学」の講師を10年以上務めました。
田渕さんは薪ストーブの話すると情熱になり、盛り上がりました。
たくさんの薪ストーブ愛好家との出会いができて、私にとって薪ストーブの仕事の中で一番楽しかった。
薪ストーブ大学の卒業生の皆さん、ありがとうございました。


薪ストーブ大学の講師を務める二人。


本物の大学のよう。


ストーブ大学のチェーンソーの授業は田渕さんが担当。
上手な切り方、刃の研ぎ方、安全な使い方、手入れなど。


効率良い丸太の玉切り方法。


毎年田渕さんの薪作りに遊びに行きました。
この時、哲学的な会話で盛り上がりました。
「1年間シーズニングされた薪は、飲み頃のワインになる。
2年物のそれは、ブランデーになる。
3年物はコニャックに。
しかし、それ以上ねかせた薪はヴィネガーになる。」

 
ヘンリー・デイヴィッド・ソローのことが大好きだった。
田渕さんがたくさんの読者に影響を与えたのと同じように、ソローが田渕さんに大きな影響与えた。
田渕さんがプレゼントしてくれた版画。
「誰もが、自分の薪山をうっとりとした気持ちでみつめる。
わたしはそれを好んで窓辺に積んだが、
木っ端が多ければ多いほど、それは愉快な仕事を思い出させた。
誰の物とも知れない古い斧を持っていたが、
それを振るって冬の日に家の日溜まりで豆畑から掘り出した根株と戯れた。
わたしが豆畑を耕していたときに、
例の御者が断言した通り、それはわたしを二度暖めた。
根株を割っているときと、燃やしているときと。
つまり、薪以上にわれわれを暖めてくれる燃料はないということだ」
 WALDEN Henry David Thoreau


田渕さんのワークショップ。
A moment of reflection. 


ワークショップの暖房は赤いイントレピッド。


ワークショップでの物づくりが幸せそうでした。


ボウルを手で掘る。


道具を全て大切にしました。


必ずサインを作品に書きました。


「座ってみてください」


遊びに行くと、いつも帰りに田渕さんが彫ったボウルやスプーンやバターナイフをくれた。踏み台も椅子もいただきました。心が大きい人でした。


田渕さんが作ったバードハウスとバードフィーダーが家の周りの見える所にかかっていました。


仲良し(2004年9月)。


美しい暮らし。どこを見ても絵のようになっている。


初期の椅子は木の枝の皮を剥いでそのままの、ワイルドなもの。


COLD MOUNTAINのエントリーホールは、ヘンリーソローのWaldenの小屋のイメージで増築した。


夏の薪小屋の壁はツール置き場に活用していた。


美味しい野菜、ラズベリー、ハーブ、美しいお花。ガーデンは心地よい場所。


豊かな暮らし。


田渕さんの本を何回も読んで、その度にいいことを見つける。


カントリージェントルマン。
ファイヤーサイド 25周年イベントでの講演「薪ストーブのチカラ」(2011年)


よく働いた! 田渕さんご苦労さま。


薪ストーブのこと深く考えて、いいことをたくさん教えてくれました。

Goodbye my friend.
空の彼方で逢いましょう。
また一緒に薪割りするから。

 



このWebマガジンはファイヤーサイドが提供しています。

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コメント

  1. You wrote a beautiful tribute Paul, brings tears to my eyes! Great pictures too! What a kind-hearted, gifted, and hard-working man he was. An inspiration to us all. Rest in Peace Tabuchi San.

  2. 田渕さん、お疲れさまでした。35年くらい前あなたの著書を見つけて読み漁った、気持ちが通じた。28年前あなたに手紙を書いた、戴いた返信は私の宝物になった。あなたの書斎机と椅子も私の宝物。
    薪焚きを始めて40年余り、薪ストーブ大学は良かった、そして面白かった。場所は違えど今もよく似た生活を続けている。田渕さんありがとう、田渕義雄は私の心に生き続けている。

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