グランマーコッパーケトル10周年
グランマーコッパーケトルを発売してから10年になりました。
お祖母さんが愛用していた19世紀のコッパーケトルを私にプレゼントしてくれたのがきっかけでした。その大切なケトルを使って、ストーブトップで常にお湯を沸かしていた私はいつも思っていました。
「このケトルは最高だなぁ・・・復刻できたら喜ぶ人が多いだろうなぁ・・・」
ストーブトップがいつも熱々なので、お湯が「ただ」で沸きます。
大量のお湯を作るのにグランマーコッパーケトルは最適です。
いつでもたっぷりお湯が欲しい!
底が広く熱伝導性の良い銅製のケトルはすぐお湯が沸きます。
すでに沸いているからパスタやお蕎麦を茹でる時間が早い!
アウトドアシーンでもキャンパーに愛用されています。
普通はキャンプ中、調理道具を洗う時にお湯がないけれど、これぐらいあればいいよね!
ハーブティやコーヒーに!
ネルお祖母さんは「コーヒーポット」と呼んでいた。
ネルお祖母さん
そしてコッパー金工伝統の歴史が長いインドの職人に頼み、そのお祖母さんのケトルの再現ができた。
満足するまで何度も試作品を作っていただき、繰り返して、2007年に発売可能になりました。
当時の3サイズ:ミニと小と大(ミニの人気が高いが現在は販売終了しています)。
お客様の声のフィードバックによりところどころの改善も重ねて進化しました。
お祖母さんのケトルはかなり大きかったが、一般にストーブトップには大きすぎと判断して、大が一回り小さくできました。
デザインはほぼオリジナルに近く、とても使い勝手が良いものでした。
新品のケトルはピカピカに磨かれてるけれど、使いこなせば変色して味が出てきます。
ケトルの試作品。中心の大きいケトルはお祖母さんのオリジナルです。
使い込むほどに味がでます。
発売開始のときに伊東孝志さんが絵を描いてくれました。
インド製から日本製へ
インドのものはとても良かったが納期の不安定と品質の課題がありました。
輸入品も多いファイヤーサイドですが、我々は日本の地元の職人との関係を作りたいと考えています。
日本は金工の伝統や生産の技術が世界一だし、近いので職人とお話ししながら物作りのことを学びたいと思いました。
自分で作ることはできませんが、職人と付き合えば物作りの知識が得られます。
2013年に、現在生産していただいている新潟燕市の銅金工職人に頼むことにしました。
燕市の工場のへら絞りの道具。
旋盤に下型をセットし、ヘラで押し当てながら絞っていきます。平面状あるいは円筒状の金属板を回転させながらへらと呼ばれる棒を押し当てて少しずつ変形させる。
日本ではこのへら絞りの技術を持っている職人が少なくて、なかなか若い人が引き継がないことが問題らしい。一人前になるまで数年の経験も必要です。
そう考えますとグランマーコッパーケトルは貴重なものですね。
一つ一つ絞り出して生産していきます。
絞りあげた蓋です。
一つのケトルを作るには数十種類の金型が必要です。
注ぎ口の金型の一つ。この部品を作るには金型が4つも必要です。
本体の絞り用の下型。
組み立て途中の姿。そのあとバフィングホイルに当てて、鏡のような仕上げをします。
日本で生産していただいている銅金工職人の代表の方がケトルを生産する過程を語る。
インド製にも増して日本製は綺麗です。水がたれにくい形状にした注ぎ口。
周りのリベットは、お祖母さんのオリジナルデザインに最も近い形になりました。
オリジナルと同じ補助ハンドルの内側を中空チューブにすることで膨らみをつけ、握りやすいグリップにしました。
ファイヤーサイドのロゴをエンボス。
底面にネルお祖母さんの顔の刻印。
グランマコッパーケトル(小)
グランマコッパーケトル(大)
バーモントキャスティングス40周年記念特別仕上げ。2015年の限定品。
VERMONT CASTINGSのロゴの刻印つき。
購入したら使う前の準備について
新しいケトルの外と中を柔らかいスポンジに中性洗剤をつけて洗います。
柔らかいタオルで拭きます。
指紋をつけると変色しやすいのでご注意ください。
一度沸騰させた水を捨ててから使い始めましょう。
ストーブトップで使えば変色は少ないが、焚き火の場合ススが着くので、使い終わったら柔らかいタオルなどで拭き取ります。
深い飴色に変わってきます。
ご使用の注意点:
ハンドルを立ったままの位置にします。横にすると火の近くなるので焦げる恐れがあります。持つ時革の手袋を使用してください。特にサイドハンドルが熱くなります。使用中は必ず水を入れて使います。空で使用すると破損する可能性があります。
お祖母さんのケトルのファンが多くなりました。
お祖母さんが驚くだろうね。
ネルお祖母さんケトルをくれてありがとうございます。
ポール3歳
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