ポールキャスナー 薪ストーブのある生活

日本における草分け的存在が贈るカントリーライフの提案。薪ストーブにまつわる様々なストーリーをお届けします。

The Defiant Encore History


デファイントアンコールの年号 

日本で最も人気の薪ストーブ機種がバーモントキャスティングスのアンコールです。
薪ストーブ愛好家に高く評価されています。
人は薪ストーブに何を求めるのでしょうか?
どんな薪ストーブだったら一緒に暮らして最高に満足するのか?
なぜアンコールがそんなに高く評価されるのでしょうか?
それはアンコールならば全て欲しいものが含まれているからです。
「アンコールは薪ストーブらしい薪ストーブ」と言われたことがあります。
本当だね!その通りだ。
今年アンコールが登場して30年になりました。

30年間付き合ってきたアンコールは今でも飽きません。
飽きないことはすごいとだと思いませんか?
たくさんのアンコールの愛好家がいるという要因はこれでしょうね?

◎高温になりやすい広い平らな天板がある。すぐにお湯が沸く。
高温なので炒め物からコトコト煮込みまで幅広いストーブトップお料理ができる。
◎トップドアを開けて鉄製の網を乗せて、餅や焼き鳥ができる。
炉内の底にオーブンプレートを敷けば灰受けの中でサツマイモやジャガイモの美味しいローストが簡単にできる。
◎トップローディングで上から簡単に重い薪たくさん一度に入れられる。
◎50cm以上の長い薪が簡単に入れられる。
◎ダンパーを閉じると可憐な炎が踊る。
◎炉内が広いのでオーブン料理も楽にできる。
◎火保ちがよく簡単に朝まで火が残ります。
◎触媒により、最高の燃焼効率です。
◎排気がクリーンなので煙突掃除が楽
◎ウォーミングシェルフでコーヒーマグやお皿を温めたり、りんごを干したり、手作りヨーグルトやパンを発酵したりできる。
◎ミトンラックに濡れた手袋やタオルをかけて乾かせる。
◎鋳物のボティから柔らかい熱が放出され、火が消えた後でもしばらく暖かい。
◎自動温度調節なので、忘れても安定した熱が等しく出る。
◎ドアのファンライト(格子)に炎が映り込む。
◎ドアガラスが広くて大きな炎が楽しめる。
◎本当に暖かい!ストーブですから当たり前ですが、特にアンコールは優れた暖房能力を持っています。
◎デザインがかっこいい!

 

アンコールの前身となった初代デファイアント

寒さ厳しく雪深いニューイングランドの森の国バーモント州で、1975年バーモントキャスティングス社は誕生しました。
「効率がよく、デザイン性に優れたストーブを作りたい」。
理想的な薪ストーブへの夢を抱いた造形家であり建築家でもあるダンカン・サイムとマリー・ハウエルが完成させた記念すべきファーストストーブがDEFIANT(デファイアント)でした。
「デファイアント」で実証された造形・鋳造・燃焼技術の独創性と信頼性は、その後「ビジラント」「レゾリュート」など、斬新なモデル開発の原動力となり、「バーモントキャスティングスこそ、本物の薪ストーブ」とまで言われるようになりました。

1986年、Defiant Encoreの名称で誕生したアンコールは、当時のEPA排気ガス規制に達しないため惜しまれながら販売終了となったDefiant(デファイント)が元になっています。
EPA基準以上に高い燃焼効率の触媒方式燃焼システムを開発して、Defiantの入れ替わりのストーブとしてアンコールが誕生しました。
なのでDefiant Encore!(デファイアントよ再び!)


Defiant Parlor Stoveの外装箱です。Parlor=居間
FRAGILE・HANDLE TENDERLY 「壊れやすい・優しく扱いましょう」

  
初期デファイアント:ドアを開けて、ファイヤースクリーンを使えば暖炉風にもなるので、「ストーブを買うと暖炉も付いてくる」というコピーで宣伝していた。


鋳物のストーブを作るには、職人さんが一つ一つの部品を木彫りで作成し、鋳型の元にします。左から3番目はストーブデザインの天才と言われるアル・ウィルカー氏。


今年2月にデファイアントのオリジナルマホガニー材の木彫り鋳型をバーモントキャスティングスから譲り受けました。
中にはレゾリュートやビジラントの部品の鋳型もあります。


このアンチークフランクリンストーブのフロントパネルの模様(菊文?笑)が初期デファイントのファイヤーバックとほぼ同じデザイン。


初期デファイントのファイヤーバック


バーモントキャスティングス独自の水平燃焼:一次空気が下部の複数の穴から横に薪の底だけ燃焼させて、右のサイドバッフルから一度上昇し、また左の下方に流れ、そこで二次空気で排気ガスをさらに燃焼させて、煙突の方へ排出されるデザインでした。
1988年7月1日にアメリカのEPA(環境保護省)で薪ストーブ排気ガスに対する厳しい排出規制が開始されたので、最後のデファイアントになりました。

12年間アメリカで最も人気だったストーブ、デファイアントの最後の製造イベント。
この最後の製造ロットからワシントンDCスミソニアン博物館に一台。


ファイヤーサイドにも一台!今事務所の玄関に飾っています。
一度も火を入れていない!Last of the Defiants!


最後のデファイアントの記念パーティの知らせ。10000人が参加したそうです。

 

Defiant Encoreの誕生

Defiant Encoreが1986年に誕生しました。


アンコール初期燃焼断面図:デファイアントの水平燃焼方式を基本にして、触媒を使いました。完全密閉構造。底より燃焼空気が両サイドに上昇し、暖められて、ガラスの前に降りて、薪が燃えて、煙が触媒を通って、煙突へ排気。
フレームパス(Flame Path)が長いため暖房性能が高く、オリジナルデファイアントよりサイズが小さいが広い面積を暖められます。

ファイヤーサイドが作成したアンコールの断面図。
二次燃焼空気の中に設置されている触媒作用により未燃焼ガスが低温度で燃焼し、燃焼効率を劇的にアップ。少ない薪の量で長時間暖めると同時にクリーンな廃棄を可能にするのがバーモントキャスティングスの技師たちの目的でした。

フレックスバーン独自の燃焼方式
2013年に発売されたフレックスバーン方式のアンコール。
触媒アンコールと同じ、底より燃焼空気が両サイドに上昇し、暖められて、ガラスの前に降りて、薪が燃えますが、その後クリーンバーン(二次空気のみで排気ガス燃焼式)と触媒燃焼をハイブリッドした燃焼方式。
一次燃焼: Primary burn 薪を燃やす ・一次空気による薪燃焼

二次燃焼:Secondary burn ガスを燃やす ・追加された空気により未燃焼ガスを再燃焼 ・触媒に届く前に76%以上の燃焼効率達成

三次燃焼:Tertiary burn ガスを燃やす
・ さらに残った未燃焼ガスが触媒を通過し、84%以上の燃焼効率され、クリーンな排気を行う


デファイアントアンコールのデザイナー夫婦バンス・スミスとアル・ウィルカー。
スミス氏は元建築家です。
デファイアントアンコールの外観とフォームや模様をデザインしました。
30年前のデザインですが、流行を超えたタイムレスな飽きがこないデザイン。
天才のウィルカー氏がメカニズムや鋳物の部品の組み合わせをデザイン。


デファイアントアンコールのドアの「ファンライト」というデザインです。
よくバーモント州やニューイングランドの建築にある模様。
私が気に入っていることは炎がこのファンライトに映り込むこと。
ファンライトに炎が踊ります。特にホウロウの映り込みが美しい。

 
建築数百年前のバーモント州ウッドストックの町にある玄関ドア


アメリカ大統領の住むホワイトハウスの窓もアンコールのファンライトと似た模様がたくさんあります。レゾリュート・アクレイムのファインライトも見れます。 


ファーストレディーたち!


オリジナルデファイアントのサイドパネル。
名称のDEFIANTが鋳物に描かれている。

 
デファイアントアンコールのバーション2の左のサイドパネル。
ENCOREの上にDefiantがあります。
バーション 1のダンパーハンドルはストーブ左手前にありました。
1998年にNEW DEFIANTが発売されました。
デファイントアンコールより大きくて、同じ機能で触媒燃焼でした。


私の自宅のNEW DEFIANTは1号機です。シリアル番号は00000001!


現在のアンコールのサイドパネルはアンコールのみだ!
1998年以来NEW DEFIANTが登場したためDefiantが消えました。


初期デファイントアンコールのウォーミングシェルフのリリーフが5段になっていますが、


現在のアンコールのウォーミングシェルフは3段になっています。
ホウロウをかけやすいという目的です。


初期デファイントアンコールのファイヤーバックに1986の年号と貝マーク。
海が好きなダンカン・サイム社長の指示らしい。
バーモント州に海がないのに、すべてのストーブやアクセサリーに貝マークが必ず付いています。貝マークがバーモントキャスティングスのモチーフですね。


ウッドボックス プラスのサイドパネルに初期デファイントアンコールの貝マークと同じモチーフ。現在でも販売しています。


スティーマーのフタにも初期デファイントアンコールと同じ貝マークがあります。


アンコール30周年記念グッズの前掛けは、初期デファイントアンコールのファイヤーバックからデザインしました。


記念商品ビッグポット。
大 、小ど ちらも前面には『Defiant ENCORE、背面には発売された年とシェルマークが描かれ、初代のモチーフを「実寸大」にこだわってプリントしています。


初期デファイントアンコールのドアヒンジは一体型でした。
しかしドアの微調整が難しいとの理由で1998年に改善されました。
また初期は二重ガラスでした。現在はシングルガラスになっています。

 

アンコール30周年限定グッズ

30周年限定アンコール
国産の技術とENCORE がひとつに。
誕生30周年を記念した特別仕様のアンコールです。

アートグリドル 
古き佳きバーモントの風景の旧ロゴを、化学薬品などの腐食作用でグリドルに浮かび上がらせました。光の当たり方で見せる様々な表情。

木製ハンドル 
本体 4カ所のハンドルを手触りの良いナラ材で仕上げ。
オイル塗装で浮き上がった木材本来の美しい木目が特徴です。 


木製フロントドアハンドルは焦げるおそれがありますので、固定せずに脱着式のハンドルとしての使用がお薦めです。

ロゴ入りアッシュドア
 
初代デファイアントアンコールのシェルモチーフを、職人が一台 一台研磨しています。いっけん目立ちにくい場所にこだわりのワンポイント!
気付いた人だけがニヤリ。ちょっとマニアックな仕様です。

     

キンドリングボックス  
ヨーロッパを中心に使われていたパイン材を再利用したボックス。
細かい焚き付けが収まりやすいよう深めにし、文字やイラストは焼印しています。
コーナー部分は伝統的なあられ組接ぎです。

復刻ログキャリー
1980年代アメリカで生産されたログキャリーを3色で復活させました。
丈夫な帆布、持ち手にはブナ材を使用しています。
付属のフックを使用すれば壁掛けのタペストリーにもなります。

アンコール レザーグローブ
Grip Swany社のグローブに記念ロゴを型押ししました。

アンコール30周年Tシャツ
正面は胸元にさりげないワンポイント。
背中側は主役のアンコールをアメリカ国旗や30th Anniversaryの文字が囲むデザインです。ヴィンテージ調で、30年の時を重ねたアンコール の歩みを表現しました。


ベンジャミンフランクリン博士の彫像。
現在の薪ストーブ、特にアンコールの技術やデザインを見たら何を思うのかな?
きっと喜ぶでしょう!

 

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コメント

  1. 30年たっても色褪せないEncoreの魅力は本当に素晴らしいですね。デザインの美しさ、性能の素晴らしさ、何を見ても完璧です。僕が最初に販売したバ-モントのスト-ブは赤のDEFIANTEncoreでした。
    VermontCastings&Encore~Forever

  2. 坂下さん、

    最初は赤でしたね!たくさん薪ストーブの機種やデザインはありますが、アンコールのような完璧なものがないと思います。これから薪ストーブ検討する人にもストーブを入れ替えを検討している人にも本当にアンコールの良さを理解して欲しいですね。

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