ポールキャスナー 薪ストーブのある生活

日本における草分け的存在が贈るカントリーライフの提案。薪ストーブにまつわる様々なストーリーをお届けします。

山小屋で薪ストーブクッキング

今月のコラムの内容はガーデンの話の予定でしたが、
8月の始めに海外に行って、日本に戻ったら畑が大変な状態になっていました!
そして先週は登山の約束がありました。
山小屋に薪ストーブ(デファイアント)があり、
その山小屋のスタッフと薪ストーブクッキングをしたので、それを今月のコラムにします。
来月は「Split Wood Not Atoms」の続きにします。

登山のメンバーは、大阪のアウトドアショップ(A&F)の乾さん、
関西の薪ストーブ施工とメンテナス専門「ブルージェイ」の加藤さんと
人気のカメラマン「写風人」の藤田さんです。
このコラムの写真は写風人さんが撮ったものです。
写風人さんのブログと同じ写真が出ますが許して下さい。

 

北八ヶ岳へ


今回は登山の経験のまだ少ない仲間がいましたので、
なるべく楽で、そして自分も慣れている北八ヶ岳の稲子湯から出発。
ゆっくり行っても目的地の本沢温泉まで2~3時間。


最初の目的地、みどり池としらびそ小屋の道は、林業用の鉄道の後に急な登りが続く。
何十年も使用されていないが、まだ枕木が腐っていない所が多い。


水場のこまとり沢です。普通は1時間かかるが、我々は40分ぐらいで着いた。
暗くなると心配なので、皆早足ですね。
看板に「みどり池、はっても30分」とありましたが、このペースで20分で着いた。

 

 

ポケット薪ストーブと「しらびそ小屋」で休憩

 


ガスタイプのキャンプストーブも持っていますが、薪を使用するシエラストーブでお湯を!
シエラストーブはポケット薪ストーブです。
ダンパーを開くとスイッチになり、乾電池でファンを回し「ふいご」のような力でよく燃料が燃える。
しらびそ小屋の孝明さんも興味津々。


私のこだわりで、ライターもマッチも使わずに火をつける。
ダケカンバの皮を使い、マグネシウムファイヤースターターの使い方を見せた。
まずマグネシウムの固まりをナイフでこすって粉を作る。
そしてナイフで擦り、火花をおこし着火させる。
火がつきやすいように綿玉にランプオイルを含ませておいて、シール袋に入れて準備しておくと楽です。


乾いた枝や松ぼっくりなどを燃料にします。


ダンパー/ふいごを適量に調節してお料理する。Photo: Paul
最後に穴を掘って、火災にならないように炭を埋める。

 
 

本沢温泉

さぁ目的地の本沢温泉へ。

カモシカは人に遭っても驚かないものですね。我々の方が驚いていました。


恐竜のような木の方が怖いなぁ。自然のものは色々な形なので山登りは本当に楽しいね。
 


本沢温泉は日本一標高の高い温泉だそうです。
「雲上の湯」と言われる。
この露天風呂は最近大雨の鉄砲水で完全に埋められたとの話しがあり、
その時入浴していた夫婦がぎりぎり逃げられたという恐ろしい話を聞きました。


本沢小屋の談話室に小さなさびさびの薪ストーブがありました。
汗で濡れた服を乾かそうという目的で勝手に火を付けようよ!
上手に焚きつけを準備する加藤さん。


実はこの煙突の設計が危険とわかりながら火をつけました。
この煙突は曲がりが3つ、高さが低くそしてオールシングルです。
煙を引くために煙突を外して火のついた新聞紙を直接煙突の中に当てて温めたらよく引きました!


さぁ山登りの疲れをとり、尺八の演奏。
実は消灯は8時です。この音を聞いて山小屋の管理者が来て
「誰!勝手にストーブに火を付けるのか!焚きすぎ!何!この下手な尺八の音!」とか怒られました。

「まぁ本当は消灯8時ですが、今日は特別に8時半まで延ばす」と言いながら
焼酎やつまみを出して、「どうぞ」。
話しながら飲みながら気がついたら0時を回っていました。
朝食が6時なのに、次の朝2日酔いで頭がずんずん!
こんな調子で天狗岳まで行けるのかなぁ・・・大雨も降っているし・・・

 
 

天狗岳を目指す


次の朝、夏沢峠を経由して天狗岳を目指す。
出発時に雨だったが、軽くなりました。暑いので雨具を脱ごうよ!


夏沢峠。遠くに秩父山脈を望む。


標高2,400m、北八ヶ岳と南八ヶ岳の分岐点、夏沢峠の山小屋「山びこ荘」は
ヤマネとモモンガの棲家になっています。
ヤマネとモモンガが同時に見られる山小屋は日本でもここ山びこ荘だけです。
夜行性なので通常は夜の7時頃に来ます。
左から写風人さん、山びこ荘の主人、乾さん、私、加藤さん。


モモンガの楽しい話しを聞きながら、美味しい挽きたてコーヒーをごちそうになりました。
さて、天狗へ。
出発した時は晴れていたが、段々と天気が崩れました。
看板がすべて新しくなっているがまだ古い看板はそのまま・・・


目前に西天狗と東天狗。段々と大雨になってきました!がんばるしかないぞう!


コマクサが咲いていました。


もうすぐ山頂です。ますます大雨と大風。
左も右も崖ですので風で飛ばされそうだ。
高所恐怖症の人にはお勧めできない道です。


「この橋を渡っていくの?」と乾さん。


右を見ると直角の崖です。落ちたら終わり。
霧のためよく見えないので助かります。


やっと天狗岳の山頂。
風が強いので立つだけでも大変です。
本当はゆっくりしたい場所ですが、たった5分で下りました。


私はクレージーと言われる。


天狗岳からの道は岩がごろごろ。
非常に歩きにくい。しかし途中のスリバチ池が美しい。
中山峠のルートの方が楽なのが後でわかりました。

 

黒百合ヒュッテでストーブクッキング


長い下りをしたあと、やっと黒百合ヒュッテに到着しました。立派な小屋です。
実は黒百合ヒュッテにはデファイアントの薪ストーブがついています。
小屋の主人が以前のファイヤーサイドスタッフの同級生でした。
宿泊予約はインターネットでしたのですが、私の名前を見て来るのを楽しみにしていたらしい。
「みんなの食事をストーブで作りますから、今晩薪ストーブ料理をさせて下さい」と言ったら「是非!」。
 


先ず火を付けて・・・


そして支度!
自分の使ういつもの道具はないので、厨房にあるものを借りて成り行き料理。
 


鶏もも肉の直火焼き、ローストトマトソースにしました。


鶏をグリルしながら左の横の鉄鍋でローストじゃがバター!


うまそう!


よく働くスタッフに「できました!ご苦労さん。」


乾杯です。

 

山小屋で煙突掃除と薪割り


実は煙突の引きがよくなくてお料理は苦労しましたので、
次の朝、煙突掃除もしてあげました。
幸いにも薪ストーブのプロの加藤さんとできて楽でした。


かなりススが詰まっていました。これで調子がよくなかったのかな?


出発前にちょっと尺八を!


山小屋の薪作りは大変でしょう。薪割りをしました。
慣れていない斧でしたがなんとかうまく出来た。


乾さんは上手じゃないか!


加藤さん!薪割り台まで割らなくてもいいよ!
泊まり客に薪割りをさせればすぐに薪がたくさんできるでしょうが、頼まれたのは我々だけ?

 

中山峠から帰路へ


中山峠から下りる。山から帰りたくない。


原生林が静かで美しい。苔や花、鳥と虫の音は安らぎです。


こんな形で生える木もあります。


安全と山に感謝し石を重ねて置く。


私と写風人さん。
彼は初めての本格登山でした。写風人さん!楽しかった?

 

 

鶏もも肉のオーブンロースト山小屋風


料理の特徴 ; トマトソースも炉内でローストするのでスモークの味がする。 
 

材料

  • (4人分)
  • 鶏のむね肉 …4切れ 塩胡椒しておく
  • (ソース)
  • フレッシュトマト …大3個 細かく切る
  • ニンニク …2つぶ みじん切り
  • タマネギ …1/2 みじん切り
  • エキストラバージンオリーブオイル …適量
  • バジル …適量
  • 赤ワイン …50cc
  • じゃがいも …3~4個 角切り  
  • バター

 

作り方

1.鉄鍋にオリーブオイルを入れてストーブトップで熱してタマネギとニンニクを半透明になるまで炒める。
フレッシュトマトと赤ワインとバジルを加え煮込む。

2.薪が熾き火の状態になったらストーブの中にクッキングスタンドを設置する。
ストーブトップでソースがある程度濃縮したら
鍋ごとクッキングスタンドに載せ、ストーブ炉内でローストする。

3.空いたストーブトップで鉄製のフライパンにバターを溶かし、ジャガイモを炒める。

4.10分程たったらトマトソースを取り出し、
代わりにクッキングスタンドにアミを置いて、皮を下向きにした鶏をグリルする。
スペースがあれば炉内の横にジャガイモを入れる。バジルを加える。
鶏の片面が焼き上がったらひっくり返す。
鶏の上にトマトソースを載せて肉を焼き上げる。

注意点;
●ダンパーは開けたままで炉内料理する。
●できるだけフロントドアを閉じて調理をする。
●非常に暑いので火傷に気をつける。

 

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コメント

  1. 憧れの北八ヶ岳、本当に楽しかったです。
    ポールさんのお陰で普段では体験できないような山登り、素晴らしい思い出になりました。ありがとうございます。

    実はデファイアントの料理をお手伝いしている時に不覚にも右腕を火傷してしまいました。まだ火傷跡が残っていますがこれもいい思い出です。でも料理は最高に美味しかったですよ。

  2. おいしいお料理ありがとうございました。天気があまり良くなくて残念でしたね。でも苔の森はこういう天気のほうが綺麗なんですよ。またゆっくり出かけてください。冬が景色が良く、歩くのも楽なのでお勧めです。今度はダッチオーブン上げておきますね。お料理、今から楽しみです。

  3. 黒百合様、お世話になりました。
    冬は楽しみにしています。またいいルートを教えて下さい。楽しみしています。

    煙突掃除した時にブラシが最後まで届いていなかったので、ストーブを使う前に上からもう一度ブラシを通した方がいいと思いました。

  4. Paulさん、素敵な旅をありがとうございました☆
    山小屋ってあんなにも楽しいものなんですね。北八ヶ岳、満喫しました。
    Paulさんにお会いしてみて、北八ヶ岳に行ってみて、本当に良かったです!
    写風人さん、黒百合ヒュッテの皆さんも本当にありがとうございました。
    冬はスノーシュー、また楽しみが増えました☆

  5. ポールさん、こんばんは?!この間は、「乗鞍アルプス音楽祭」を見に来て頂き、有難う御座いました。北八ヶ岳に登られた、とのこと。きっと、素晴らしい登山であられたでしょうね。

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