ポールキャスナー 薪ストーブのある生活

日本における草分け的存在が贈るカントリーライフの提案。薪ストーブにまつわる様々なストーリーをお届けします。

Split Wood not Atoms! ポールの薪割法その1

split  [ splt ] 〈薪などを〉割る
〈分子・原子を〉分裂させる

Split Wood not Atoms! 原子を割らないで薪を割れ!

原子力発電は問題だらけ。
それ以外の自然エネルギーで100%まかなえるはずです。
だだ、行政ははじめから自然エネルギーに切り替える勇気がないだけでしょう。
世界の科学者、起業家、発明家の知恵と力とビジョンを集めれば可能ですが、
まずは自分のできることから始めたい。

エネルギーのコストとリスクはなんでしょうか?
原子力発電は事故のリスクと核ゴミ処理方法の未完成、テロなど、
利点より問題のほうが遥かに大きいのでは?
原発の事故のせいで近くに(30キロメートル以上!)長年住めない、
作物が食べられないことを考えると……
安心して子供を育てられない国が日本の未来でしょうか?

いつか原発を許さない日本の政府になるのか?
そのリーダーシップはないのでしょうか?

そして石油は温暖化、市場の価格変化、海に流出する事故、自然破壊・・・
その使用を最低限にして、他のエネルギーのライフスタイルにシフトすべきだと思います。

大きな課題ですね。
果たしてエネルギーは人間の自由の元でしょうか?

薪ストーブの素晴らしいところのひとつは、自分の力で燃料を作れることです。
いい汗をかいて薪割りをして、1年干してそれから薪ストーブで柔らかい熱を楽しむ。
自然と共に暮らせるはず。

しかし薪作りは余力が必要なので楽をしたい贅沢な人間はやらない。
今の近代社会では「面倒くさいことはやらない」ので原子力発電が必要になります。
しかしこれからは社会を見直し、生活スタイルを変えなければならないのではないか?
薪作りは楽しもうと思えばそんなに面倒くさくないですよ。

 

ポールの薪割法

冬になるまでの間に、コツコツ木を集めて薪を作る。
1日1本でも毎日やれば1年で365本になります。
そのうち、木を拾い集めるのが趣味になってしまいますよ。
木を切ったり、斧で割ったりするのも馴れれば楽しいものです。
十分な薪が用意できたら、この冬を無事に越せるという何とも言えない安心感が得られます。

薪作りの方法がいろいろあると思いますが、
私が長年の経験で積み上げた薪割り方法を今月のコラムにしてみました。
ポールの薪割法、これを2~3回に分けてコラムをアップする予定です。

 

木の種類

針葉樹:「針葉樹は薪ストーブに使えません」という噂がありますが、これは嘘の話です。
もちろん燃料に使用できます。
しかし火力が強く早く燃えるので温度調整の注意が要る。
熾き火(炭)が残らないので長時間燃焼は難しい。燃費が悪い。
針葉樹を薪にする場合なるべく太いほうがよい。

「針葉樹を使うと煙突にススが溜まる」という噂もあります。
薪の乾燥が不足していると温度が上がりにくくススが発生する仕組みですが、
針葉樹と広葉樹、いずれもよく乾燥されていればススは溜まりにくい。
ですからこれも嘘。

針葉樹は焚き付けに最適です。
細く割ってたくさん作っておけばすぐ熱い火になり、燃料用の広葉樹の着火に最適です。
ストーブトップ料理の温度を早く上げるのにもよい。

広葉樹:燃料用に最適です。火持ちがよくて長時間燃焼する。

 

薪割りの基本

まず薪割りの基本です。
生きている木を切り倒す(ここではその方法に触れません)時期は、
葉っぱが落ちた後すぐです。
地方によりますが、だいたい11月~12月の間です。この時期に木の水分が少ない。

木を倒してからなるべく早めにストーブの大きさに合わせて玉伐りし、薪割りをします。
玉伐りをしてから時間が経つと段々と割りにくくなります。
また、長い間地面に保管すると虫がつきやすいので早めに薪割りをしましょう。


(玉切り)

 

必要な道具


チェーンソー、耳栓、保護めがね、ヘルメット、チェーンソーチャップス、チェーンソーミット、ブラシ


耳栓、保護めがね、ヘルメットのセットは便利です。
安全第一です。
チェーンソーチャップスやミットをきちんと着け、靴は安全靴や皮の靴。
ス二ーカーやサンダルはだめ!


植物性の混合油は環境にやさしい!
チェーンソーの混合油の比率は、
ガソリン50に対して2 サイクルエンジンオイル1= 50:1の割合にします。
チェーンソーの使用後必ず混合油を抜き取り、エンジンが止まるまで使い切 ってください。
チェーンソーオイルは植物性のものを使用してください。

 

チェーンソーの点検


使用前後にはチェーンの状態を確認し目立てをします。
目立て用のヤスリ、プラグレンチ、ワイヤーブラシ、デプスゲージなど、
メ ンテナンスに必要な道具を用意します。
予備のプラグも各1コ用意しておき ます。 


チェーンの点検:刃がこれ以上小さくなったらチェーンの交換時期です。


デプスゲージを調整する。
デプスゲージはチェーンソーの前方に出ている突起物です。
これでカッターが木に食い込む深さを調整します。
カッター部とデプスゲージの隙間で木に切り込んでいくのですが、
目立てをしていくとカッター部には逃げ角があり、
カッター部が低くなりデプスゲージのほうが高くなることがあります。
そこでデプスゲージを擦り落とし、カッター部より低くする必要があります。


作業開始前に研ぐのは当然として、
燃料が無くなってしまい、給油をするときには歯を研ぐようにするのが好いでしょう。
あとは、気を付けていても、どうしても石なんかに歯が当たってしまう事があると思いますが、
そんな時にも無理をして切るのではなく、作業を中断して歯を研いだ方が、
作業効率も落ちませんし疲れ方も断然違ってきます。
チェーンソーの詳しい説明はチェーンソーメーカーオレゴンジャパンを参照してください。

      
チェーンは使用すればするほど伸びますので張り具合を必ず確認し、調整しましょう。


トビで原木を転がす。


枕木を敷いて置けば地面に原木が触れない。
地面に触れると土や石が食い込みチェーンソーを傷めます。


トビで原木をこのように並べると切りやすくなります。


使用する薪ストーブに入る長さを計る。


見やすいよう赤いチョークなどで印を付ける。


チェーンソーのバーの長さが30~35センチ位の機種がお勧めです。


バーを挟まないよう、木製のくさびを使って隙間を開いたままにします。


ティンバージャックを使えば地面から太い原木を簡単に持ち上げることできます。


チェーンソーだけではなくて、手ノコギリも使いましょう。
これぐらいの直径の原木でしたら切る早さは同じです。
チェーンソーには手入れ、目立て、燃料を用意する時間を含むからです。


 生木なら数時間でこんな量が作れます。

続く・・・・
» ポールの薪割法その2

Photes:Paul Kastner, Syahoojin

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