ポールキャスナー 薪ストーブのある生活

日本における草分け的存在が贈るカントリーライフの提案。薪ストーブにまつわる様々なストーリーをお届けします。

冬中1本のマッチで

朝早く起きてわたしが最初にすること、それはストーブのチェック。
炭がたくさん残っていれば、その中からまだ燃えている熾き火(おきび)を探す。
一番熱そうな炭火を探して、火ばさみでストーブの真ん中に置く。
手作りの火吹きでその炭火を吹けば、青い炎が立ち上がる。

その上に薪を置く…すると乾燥した薪がたちまち燃え上がる。
寒かった部屋がストーブの放射熱でだんだん暖かくなっていく…
ストーブトップにコーヒーメーカーを置く。
そして、今日一日が始まる。
12月から3月まで、わたしのストーブの火は絶えることがない。

11月の日中は気温が上がる。
で、午後の4時頃までには薪は燃えつきる。
夕方になってから、ファイアースターターと焚き付けを使って火を起こす。
30分ほどでストーブの火力が十分に上がる。

そこで、ダンパーを閉じる。
そうすれば、そのまま夜の8時までストーブは燃えつづける。
夜遅くまで起きていたい時には薪をくべ足すが、
11月は通常そのまま薪が燃え尽きるにまかせる。
そして朝、再点火する。

ファイアースターターと焚き付けを使って、
マッチ棒1本の小さな火から大きな火を起こしていくのが好きだ。 
健やかな季節には、細く割った薪やポプラとか針葉樹などの軟木を燃やす。
柔らかくて軽い薪は、燃え尽きるのが早く熾き火も残らないから、
部屋を暖房しすぎてしまうということがない。

太く割られた堅木の薪は、真冬のために温存しておく。
そして、いよいよ大冬になったら太割のオーク(楢)を持ち出す。
オークは、ストーブトップからようやく給薪できるほどの太さに割っておく。

トップローディングできないほどに大きな薪は、
間口の広いフロントドアから給薪することができる。
大きな薪は、薪をくべる手間が省けるし火持ちもいい。
そんなこともあって、わたしは大型機種であるデファイアントアンコールが好きだ。

 

アンコールとデファイアント

冬は忙しい時。
わたしの家には黒いデファイアントと赤いアンコールがある。
朝、わたしはアンコールに火を起こす。
なぜなら、アンコールはキッチンにあるからだ。
それから、必要に応じてリビングにあるデファイアントに火を起こす。

アンコールは大型機種だが、デファイアントほどではない。
アンコールは、デファイアントの半分ほどの薪しか給薪することができない。
その分、デファイアントは大食らいなストーブだと思うかもしれない。
しかし、実はそうではない。

アンコールとデファイアントは同じ割合で燃焼する。
アンコールに再給薪が必要になるときでも、
デファイアントはまだ力強く燃えている。
アンコールでは1日に4~5回の給薪が必要な厳冬でも、
デファイアントなら3回の給薪ですむ。

ところで、わたしは冬中ストーブの灰を完全に掃除するということがない。
灰がフロントドアからこぼれそうになったとき、
炉床の縁にある綺麗な灰をすくいだすだけだ。
24時間ストーブの火を絶やさないためには、
厚い灰の炉床を作っておくことが大切なのだ。

12月の或る日、
1本のマッチで起こした火が3月までずっと燃えつづける。
驚くべきことだ。
1本のマッチで冬中…それは、まるでオリンピックの聖火のようだ。

寒い冬の朝、薪ストーブに燃え残った熾き(おき)を寄せ集め、
ステンレス・パイプの先をすぼめて手作りした「火起こし」を使って火力を上げ、
新たな一日のために新しい薪をくべ足していく。

 



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