すずきみちよ 薪ストーブでおうちごはん

アウトドア料理コーディネーター鈴木道代によるシンプルな素材が生きる「おうちごはん」レシピ

ヒツジを食べる会

借りている畑の隣ではヒツジが3頭飼われています。
娘も草をあげたりしてかわいがっていました。
イノシシよけかな、羊毛をとるのかなと思っていましたが、
このヒツジちゃんたちは食べるためにもらわれてきたのです。
畑の大家さんから「ヒツジを食べる会」をするから来ませんか?とお誘いをいただきました。

「私の畑の草や野菜をヒツジが食べて、
そのヒツジが食べ物になり、私たちのイノチになります。
畢竟、食べることはイノチのやり取り・循環であるということを、
感じていただければと思います。
毛皮や内臓、血まで無駄なくいただきましょう。

古代インカのケチュア語で「パチャマンカ」というアースオーブンをします。」

世界中を旅するNさんをチーフに、
ヒツジを殺してさばいてアースオーブンで蒸し焼きして食べるという会。
少し迷いましたが、肉を食べるということを知るまたとない機会なので参加することにしました。

 

その時

当日は気持ちのよい青空。
禊ぎの気持ちというか朝風呂を浴びて車ではなく歩いて出かけました。
畑の隅ではアースオーブンの穴掘りをする人と葉巻をくわえたNさん。
そしてヒツジ達。
Nさんは南米ペルーなどでよくこういうことをしているそう。
でも他の参加者は初めて。
なんとなくただならぬ緊張感が漂います。

Nさんは麻縄を片手におもむろに柵の中に入り「どれ捕まえるの?」と。
何かを感じて逃げ惑うヒツジ達。
向こうも必死ですからなかなか簡単には捕まりません。
Nさんいわく捕まえるのが一番大変な仕事なんだとか。

 

何とか一頭の足を摑み柵の外からも男性2人で足を押さえて横倒しに。
するとおとなしくなってしまい縄で足を縛って外へ担ぎ出します。
Nさんくわえていた葉巻をヒツジにくわえさせます。
南米では殺す前と死んだ後にタバコをくわえさせるのが儀式なのだとか。
ヒツジは観念したように静か。
Nさんはのどの毛をそっていたと思ったら、
いつの間にサッとのどにナイフを2回ほど刺し入れました。

ビクビクッと大きな体を震わせたら口から少し泡を吹き、もう命は絶たれたのでした。あっという間でしたが見つめていた人それぞれが心に留めるものがあったでしょう。

私たちの人生勉強と生きる糧のために命を捧げてくれたヒツジに敬意をこめて葉巻をくわえさせます。

 

解体

命が天に昇った今、目の前にあるのは肉として意外と自然に受けいれられました。
そしてその後の皮をはぐのが思いのほか大変。


毛皮を破らないように、そして脂がなるべく多く肉のほうにつくようにするのが上手いやり方のようです。


おなかを裂いて内蔵を丁寧に取り出し、
刺身で食べられる部位をそのままいただきます。
レバーやハツ(心臓)、脳みそなど。
とろりとした中に強い甘みがあって臭みは全くありません。
丸ごと使えて捨てる部分はないのだとか。
本当に貴重な味と体験です。

鉈などを使って解体し、スペアリブなどをその場でバーベキューに。
しっかりした赤みのさっぱりした肉質で、ヒツジ肉の概念を覆す臭みのなさとおいしさです。かみ締めて食べるとおいしさが染み入ります。

 

アースオーブン「パチャマンカ」

そして隣では南米のパチャマンカという穴の中の焚き火で蒸し焼きにする料理を。


焚き火の中に石を投げ入れその上にヒツジ肉の塊、
じゃがいも、玉ねぎ、パンだねを重ねていきます。


また土で蓋をして蒸し焼きにしますが、
今日はトタンを重ねて蓋代わりにしています。


焼き上がったところで火の残る穴の中から
豪快に肉の塊を放り投げながら取り出します。


さっきの炭焼きより肉がしっとり柔らかく焼けています。

このアースオーブンはハワイなどいろいろなところで行われると聞いてはいましたが初めての経験。なるほど男手がたくさん必要な豪快な料理法。
お祭りや結婚式の時に行われるというのが納得できる楽しくにぎやかな料理でした。


玉ねぎが甘くておいしい~。

ダッチオーブンの蒸し焼きとも似ています。
農園とれたてのレタスでお肉を巻いて甘辛だれをつけてたべるのがおいしかったな。
正直言うと肉はお腹いっぱいで野菜が食べたい気分でした・・・。

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それにしてもすごい肉の量。
ありがたく命をいただいていると思うせいか
少量で満足感がありそんなには食べられません。
ウチの娘も普段からお肉はそんなに食べませんが、
いろいろ感じるところがあったよう。
小さいうちにこんなまたとない勉強をさせてもらえて感謝です。

 

羊のボイル

食べ切れなかったお肉を少しいただいてきました。
薪ストーブとダッチオーブンで静かにボイルし茹で肉に。
どんな塊肉でも静かな湯の中でじっくりゆっくりボイルすると
柔らかくおいしくなります。

ネギとショウガのソースで庭のレタスと一緒にサンドイッチに。
茹で汁は塩と醤油でスープに仕立てました。

 

材料

  • 塊肉(ヒツジ)…500g
    ネギ、にんにく、ショウガなど 臭み抜きに
  • ソース
  • ネギ …1/2本
  • しょうが …1/2かけ
  • にんにく …1/2かけ
  • サラダ油 …適量
  • 塩 …適量

 

作り方

ダッチオーブンに水と肉、臭み消しの野菜を入れ薪ストーブに乗せる。
グラグラしないゆっくりと対流するくらいの湯加減で2時間ほど茹でる。

柔らかく茹で上がったところで薄くスライスして食べる。

お好みのソースで。
うちはネギ、しょうが、にんにくをみじん切りにして
サラダ油と塩を混ぜたソースが好きです。

 

アレンジメニュー

今朝は庭のレタスとキャベツ、チーズ、オリーブとともに、

里カフェのパンに挟んでいただきます。
くせがなくて柔らかいお肉なので何にでもアレンジできそう。

残りのスープはラーメンにしました。

最後の一滴までごちそうさまでした。

 
食べるということと命が循環するということを
40歳過ぎてあらためて学ばせてもらいました。
緊張したのか重い肉をずっと押さえていたせいか腕が筋肉痛になっています・・・。
私のカラダを作ってくれた全ての命にありがとうの気持ちでいっぱいです。

 

 



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コメント

  1. はじめまして。
    私もかつて山の暮らしをしていたとき鶏でしたがこのように大人も子ども集まって鶏をさばいて皆でいただいたことを思い出しました。いのちをいただいて生かされていることを忘れないでいたいです。
    シェアさせいただきました。ありがとうございます。

  2. 地子さんコメントありがとうございます。
    鶏をさばいて食べたことがおありなのですね。
    私はこの暮らしをするまで肉は売られているものとして知っているだけでしたので
    飼っていた鶏をさばいたのは衝撃の経験でした!
    いのちあるたべものの大切さ、子どもたちにもどうにか伝えて
    いきたいですね。

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