ポールキャスナー 薪ストーブのある生活

日本における草分け的存在が贈るカントリーライフの提案。薪ストーブにまつわる様々なストーリーをお届けします。

100年以上生きているサワードウ菌を飼っている!

山で生活していた20代の頃に、知り合いからサワードウ菌をもらいました。
サワードウは天然酵母と同じようなもので、小麦粉と水で出来ている。

「このサワードウは有名なサンフランシスコのレストランで
100年以上前から使用されてきたものです。大切にしてください!」

私はそれから10年ぐらいそのサワードウでパンやホートケーキなどを作り続けました。
しかし、長い海外旅行に行っている間に、100年以上生きてきた菌が死んでしまいました!
サワードウの酵母菌は売っていないので、誰かから分けてもらうしかないのです。

仕方なく普通のイースト菌でパンを作っていました。
もちろん普通のイースト菌のパンも美味しいけれども、
サワードウパンのような味と固さにはなりません。

 

パン名人ローランスさんの石釜

この冬に、尺八の仲間のローランスさんから連絡がありました。
「私はサワードウで少なくとも週に一度パンを焼くので、石釜を作ることにしました。」
「いいね。私も欲しいなぁ!」
「企画中なので、煙突を探している。ポールさんの煙突はどう?」
NOVA二重断熱煙突は最適ですよ・・・」

1m1本とラウンドトップのセットを使うことになりました。
 


(尺八の仲間ローランスさんと石釜)

「カリフォルニアのあるレストランで出てきたサワードウパンが
美味しくて食べるのをやめられなかった!
そして、そのレストランからサワードウ菌を分けてもらった。
それは37年前のことで、ずっとこれを大切に使ってきました。」

とローランスさん。

実はローランスさんが2種類分けてくれました。
サンフランシスコ菌とイタリア菌です。
SF菌は柔らかくてふぁふぁもちもちのパンができる。
イタリア菌で作るパンは少し固いが、
オーリブオイルやバジルペースト(ジェノベーゼソース)を付けると最高に美味しい。
レストランで長年使われ、ローランスさんが40年近く育てたこの菌も
100年以上の歴史があるものだと思います。

 

 

サワードウ菌の保存

サワードウ菌には毎週 「餌」(小麦粉と水)を与え、養う。
小麦粉と水を与えないと死んでしまう!


大きめの瓶にサワードウを保管します。写真はイタリア菌です。
サワードウは使うほど美味しくなります。
毎日使用する場合は常温で保管しますが、週一度の場合は冷蔵庫に保管します。
パンを作った時にはスターター(後述)を少し戻してそれが栄養になりますが、
長時間作らない時は「餌」を与えて元気にしておきます。
そうすればいつでも美味しいパンを作ることができます。


20代の時に使っていた本「Adventures in SOURDOUGH cooking and baking」
「サワードウ クッキングとベーキングの冒険」を掘り出しました。

30年前によく使っていた本なのでぼろぼろです。まだ使えますが…
長い間サワードウでパンを作ることをしなかったので、素人に戻りました。
失敗してもがんばりま~す! 毎週作ることを決意しました!

 

 

サワードウパンを作る


大切! すべての材料と容器を常温にしてから行う。
先ずはサワードウのスターターを作る。


ボウルを陽に当てて温かくします。

スターターは発酵させたサワードウと小麦粉と水です。
発酵後、一部のスターターを元のサワードウへ戻して保存する。

基本的にスターターは2種類あります。スターターAとスターターBです。
Bは捏ねる必要のないパン、フランスパン、ホットケーキ、ケーキなどに使用します。
Aは普通のパン、ライ麦パンなどに使い分けます。
今回はフランスパンを作るので、スターターBの作り方を紹介します。

 

 

サワードウ スターターの作り方

  • (2.5カップのスターターBになります)
  • サワードウ …1カップ(今回はサンフランシスコサワードウで作りました)
  • 小麦粉(強力粉) …1.5カップ
  • 水(20~30℃) …1カップ

注意:大きめのボウル(ホウロウ、ガラス、ステンレス製)を使って下さい。
鉄や銅製は菌と化学反応するので避けた方がいい。


サワードウと水をよく混ぜて、少しずつ小麦粉を加える。
サワードウはかなりどろっとしています!


サランラップでフタをし、20℃~30℃の場所で8~10時間発酵させます。
スターターの準備を含め、パンが出来上がるまで16時間かかります。
スターターは寝る前に準備することをお勧めします。


薪ストーブのウォーミングシェルフが最適ですが、
温度計で見て30℃以上に上がらないように注意!


8時間後、細かい泡が立ってきました。
スターターの発酵が十分進んだら準備完了です。
そろそろパン作りに入ります。

その前にスターター1カップを元のサワードウに戻してよく混ぜて、冷蔵庫で保存します。
これはサワードウのための「餌」になります。毎回行うことが大事です。

 

 

フランスパンを焼く

  • スターター …約1.5カップ
  • 小麦粉(強力粉) …4カップ
  • 塩 …小さじ2
  • 水(20~30℃) …2カップ 

 

 

1. 大きいボウルにスターター、塩、水を入れてよく混ぜる。
2. 小麦粉を1/2カップに分けて少しずつ入れ、ヘラなどで混ぜる。
3. 3.5カップめぐらいからスプーンでも混ぜにくくなります。
4. 残りの粉をめん台に敷いてボウルから生地を出して、粘りがよく出るまで捏ねます。
5. 捏ねすぎるとパンが堅くなるので、5分~7分程度でいいと思います
6. ボウルに戻してサランラップでフタをし、25℃で2時間発酵させます(発酵時間は温度によります)


7. 発酵すると倍ぐらいに膨らみます。一度ガス抜きをします。
8. さらに1.5時間発酵させます。
アンコールドミノの薪ストーブで焼く場合は、
この時点から火を入れたり、薪の調整をしたりします。


9. 二次発酵が終わったら、2個に分けてパン枠に入れる。
ピザストーンなどに置いて直接焼く場合はお好みの形にします。
私は知りませんでしたが、プロのパン屋は皆 「発酵カゴ」 を利用する。
以下にその話しをしますが、このパンを焼いた時にはまだ知りませんでした!

10. 2個に分けたら、30分程度発酵させます。表面が乾かないように布などかけます。
11. 表面にナイフなどで切れめを2カ所入れます。
12. 生地の表面を軽く水でスプレーして200℃のオーブンで45分から60分焼きます。
 


オーブンが十分熱くなってから焼きます。


ピザストーンで焼く場合は、ピザピールにコーンフラワーを敷いてからのせると
ストーンとパンがくっつきません。

写真はオーブンの大きさに対してパンが大きかったので(計算ミス)
2つ仲良くくっついていますが、
とても美味しいサワードウパンができました。

 

 

Banneton Bread Basket /バヌトン発酵カゴ

ローランスさんからサワードウをいただいて1ヶ月経ちました。
段々とパンが上手になったけれど、いつも2つに分けた後の発酵でパンが平らに沈みます。
ローランスさんのパンのようにいい形になりません!

ローランスさんに聞いたら
「バヌトン発酵カゴを使えばいい形になるよ」と教えてくれました。
バヌトン発酵カゴは聞いたことがなかった。
調べたらプロのパン屋さんがよく使うものでした。

最後の発酵の時にパンを発酵カゴに入れるようです。
入れる前にくっつかないように小麦粉を付けます。
考えてみますと、雑貨のお店でこのようなカゴをよく見たことがありましたが、
ただのカゴだと思っていました。


Banneton Bread Basket バヌトン発酵カゴです。


バヌトン発酵カゴで焼いたパン。カゴに付いた粉でこんな模様ができます。


直径もさまざま。丸、長方形、四角、三角いろいろ形があります。


布付きのタイプもあるようです。


早速購入しましたので、次のパンをこれでやります。
発酵カゴを使わなくても美味しく焼けますが、いい形ができません!ちょっと悲しい!


写真はローランスさんが石釜で作ったパンです。
バヌトン発酵カゴからいい模様がついています。
何回もローランスさんが親切にアドバイスをしてくれます。

私のサワードウの冒険はこれからです。
少なくとも毎週サワードウパンを作り続けます。
そしてずっとサワードウに餌を与えていきます。
 

 

  • ページの先頭へ

コメント

  1. 私の家内もパンを焼きます。天然酵母の様ですが私には良く解りません。ご紹介いただいたこの記事を家内にも見せて挑戦してもらおう。早くキッチンストーブがほしいです。

  2. とてもおもしろく、拝見させていただきました。
    サワードウ菌、初めて聞きました。
    味の方は酸味があるのですか?

  3. tashiroさん、
    サワードゥは天然酵母と違うようです。パンを焼く香りは家中に広がります。

    モミの木さん、
    酸味ありますよ。今度はライ麦パンを作ってみよう。

    ポール

薪ストーブエッセイ・森からの便り 新着案内