すずきみちよ 薪ストーブでおうちごはん

アウトドア料理コーディネーター鈴木道代によるシンプルな素材が生きる「おうちごはん」レシピ

青いトマトのパイ 〜ローラの母さんのレシピから〜

  

新大豆が甘くておいしくて

寒さが本格的になってきましたねー。
今朝は初霜が降りました。
いよいよ本格薪ストーブシーズンの始まり。

娘とダンナさんで煙突掃除もやってくれたし、
義父の知り合いの植木屋さんからたくさん薪は届いているし、
今のところ心おきなく薪を焚いています。

毎年そうですが焚きはじめのこの時期は特にウキウキしますねー。
暖かいし炎は美しいし、
ストーブトップでおかずを温めたりパンをこんがりさせたりもできるし。
それにお湯はいつも沸いているのですよ。
なんて薪ストーブって便利なんだろうとあらためて感動なのです。

 
たっぷりと沸いたお湯で新大豆のおこわを(作り方は山菜おこわのページ参照)。
珍しくイノシシにやられず、枝豆だけでなく大豆を少々収穫することができました。

畑に二晩干したあと天気が悪くなるので家に持ち帰って。
このとき運ぶのにオリジナルのログキャリーが役に立ちました。
たっぷり入るし、肩にかけられて手も空くので一度で運ぶことができました。
なかなかの便利グッズですね!

ウチの畑は日当りが悪く庭にも干す場所がないので
ストーブの脇に置いて乾かします。
乾くまで待ちきれず、この生大豆を地元のふるさと祭りで買ったもち米と一緒におこわにしたのでした。

草にまみれて育ったのでだいぶサヤが黒ずんで傷んでいますが
少しは食べられる豆がとれました。

お湯につけてから蒸かすと大豆が甘くおいしくて
娘はお赤飯よりよく食べました。
新米なので米も短時間で蒸かし上がったみたい。

 

 

畑の青いトマト

霜の前の畑の様子。
きゅうりはおしまい。ピーマンが残りわずか。
ナスはあともう一踏ん張りいけるかな。

名前も知らない細長カボチャ、
生き残った1株だけで畑いっぱい蔓を伸ばして元気。
たくさん実をつけています。

里芋をうれしい初収穫。
小芋の先に孫芋までついて思ったより大きく育っていました。

サツマイモは一つのツルからなんとか一個だけ収穫。
これも意外と太っていて薪ストーブで焼き芋にするのが楽しみ。

そして終わりかけのトマトを発見。
さすがに夏の日差しとは違って赤くなる力はないようです。
レッドゼブラという縞模様で身のしっかりしたおいしいトマトだったのですけど。

くったりと萎れた枝からまだ青いトマトをいっぱいもぎ取ります。
さてこれをどうしようか。
またまた思い出したのはあの本でした。

 

青いトマトのパイ

 

材料

直径21cmのタルト型1台分 

  • <簡単パイ生地>
  • 地粉 …2カップ
  • 塩 …小さじ1/2
  • サラダ油 …大さじ4
  • 水 …60ccくらい
  • <フィリング>
  • 青トマト …1㎏
  • てんさい糖 …150g
  • 棒寒天 …1/2本

 

作り方

1. 薪ストーブはおき火ができるようにしっかり焚いておく。

2. 青トマトをざく切りにして鍋に入れ、
てんさい糖も加えて蓋をしてストーブトップで煮る。

3. 棒寒天は水に浸してからちぎり、また水に戻しふやかしておく。
トマトが煮えたら寒天をしぼって鍋に加え、もう一煮立ちさせて寒天を溶かす。

4. パイ生地をつくる。
地粉と塩を混ぜサラダ油を加えたら指先でポロポロになるように合わせ、
様子を見ながら水を加えてこねないようにひとつにまとめる。

5. のし棒で伸ばし油を塗ったタルト型に広げる。

6. 炉内のおきを両端に寄せ、
クッキングスタンドを置いたらタルト型を入れ生地を焼く。

(今回はフィリングを別につくったのでパイ皮だけで焼きます。
アップルパイの時はリンゴを乗せて一緒に焼いています)

7. おき火が強かったので3分ほどで焼き上がりました。

トマトフィリングを乗せて平らにならしたら少し冷まし固めて完成!

8. 地元のもち米の大豆おこわと畑の里芋のみそ汁。
粉からトマトまでご近所産のおやつ。実りの秋ですね〜。

 

なんと棒寒天も近所の友達のダンナさんから。
冬の期間だけ長野の諏訪にいき棒寒天をつくる寒天職人さんです。
寝ずの番で大釜で海藻を煮て、寒風のもと寒天を凍らせて、
乾燥させ棒寒天にするという大変な仕事です。
一面に寒天を干している景色は冬の諏訪の風物詩ですよね。

そんなご縁で寒天をよく使うようになりました。
棒寒天はその一手間に慣れると扱い簡単。
常温ですぐ固まるので夏のゼリーにも重宝しました。

 
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ヒントをくれるローラの本

そう、その本とは「小さな家の料理の本」。
いつも何かヒントをくれる一冊です。
ローラの家の貯蔵食品が底をついてきたとき、
母さんのアイデアで青いカボチャのパイを作り
父さんを驚かせるという場面があったのを思い出したのです。

そこで本を開いてみると、
青いトマトをピクルスにするというレシピがでてきました。
ピクルスかジャムか迷ってジャムにしようと決めてからパイにアレンジしてみました。パイ皮も私がよく作る簡単パイ生地と同じようなレシピでびっくり。
ローラの母さんはさすが豚のラードを使ったようですけどね。
トマトの香りが爽やか。
パリッとした粉の味もしっかりとわかる素敵なパイの出来上がりです。

早い初霜でぐったりとやられてしまったトマトの青い実を
がっかりしながら全てもぎ取るシーン。
本を読んだときには頭に残っていませんでした。

いま自分で菜園をやっているからこそ、
その時のローラの落胆に心から共感して開拓民の暮らしの大変さを思い、
父さん母さんの知恵と生きる力に感動できるのだと思います。

何度読み返しても、その時の自分によって感じることが変わってくる。
よい本とは一生の友人ですね。
自分もすこしは成長しているかな。

小学2年生の娘はいくつになったら
「大草原の小さな家」シリーズを読むようになるでしょう。
今は時々読み聞かせをしています。

最近は字で読ませる本を少しずつ読むようになってきました。
本の世界にはまり込む楽しみがわかってきたような感じです。
よい本を与えてあげるのも親の役目かもしれませんね。

私の薪ストーブへの憧れは小5のその時からなのですが。
本はタイムトリップをするのにもよいツールですね。

 

 

Photoes by Michiyo Suzuki

*次回の更新は2014年1月です。

             
        

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コメント

  1. 大草原の……シリーズ私も大好きです。料理の本も持っています。本を買った時には子供で電気こたつにあたって読んでいました。大人になって薪ストーブのそばでローラたちの生活を振り返ることができるようになるとは夢にも思いませんでした。
     昔NHKで放映したり、映画ができたりしていた大ヒットですが、最近の子供たちには受けないそうです。あの面白さがわからなくなってしまったのだなあと残念な気持ちです。鈴木家のお子さんたちが面白く感じてくださいますように祈っています。

  2. rosemaryさま
    コメントありがとうございます。
    薪ストーブの側でローラの本のページをめくる日々がくるなんて本当に
    夢のようです。
    ウチの子のローラの本の反応はどうでしょう?
    今のところドキドキするシーンがあるのでちょっと恐いようですよ。

    ブログも訪問させていただきました。
    薪ストーブの上にたくさんヤカンが乗っている写真にうれしくなりました。
    この冬もストーブ生活楽しんでいきましょうね。

  3. みちよさん、しゅんたろうさん、もゆなチャン  
    みなさんお元気ですか?

    薪ストーブの季節到来。豊かな自然のなかの生活に 幸せあれ。

    それにしてもおいしそうな 薪ストーブ料理の数々。
    一度、美味しいコーヒーとパイを食べに、おジャマしようかナ!

    亀吉

  4. 教えていただいて、さっそくローラの料理の本、買いました^^ありがとうございます^^
    楽しみにして、こちらのサイト、みせていただいています。おいしそうですね。一つ、お聞きしたいのですが、夏場も薪のストーブで料理されるのですか?アパート暮らしで今はできませんが、いつか、薪ストーブに、と憧れていますが、夏はどうされているのかなと思って。^^

  5. 伊東さん
    ごぶさたしています!
    伊東さんに紹介いただいたこのコラムもかれこれ7年続いています!!
    なんてことない日々のごはんですが、食材だけは恵まれているなぁと思います。
    それを薪ストーブで料理することがとっても豊かですよね。

    来年のカレンダーの軽トラの絵にシビレました♪
    ぜひ我が家にもお立ち寄りくださいね。また焚き火を楽しみましょう〜。

  6. 畑野雅子さま
    こんにちは。お返事おそくなりました。
    ローラの料理本ゲットされたのですね。
    読み物としても楽しいですが、ぜひいろいろ作ってみてください。
    あの時代を感じることができますよ。

    そう、薪ストーブで夏も料理することがあります。
    でも毎日でなくて直火料理がしたい時です。
    夏にバーベキューで盛り上がるあの感覚ですね。
    真夏の夕方に揺らぐ炎を見るのもいいものですよー。

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