巣さがし日和
(Photo:雄のモズ。捕らえた獲物を木の枝などに突き刺した「モズのはやにえ」が有名ですが、このような可愛い顔をしています)
落ち葉が足元に舞う、寒いさむい冬。
この時期は、フィールドにでるのも寒くておっくうになってしまう。
しかし、ちょっとだけ元気をだしてボクは、なるべく外へでるようにしています。
それは、野山の木々が裸になることで、これまで見えなかったフィールドサインが目に飛び込んでくるからです。
こうした冬のフィールドでいちばん楽しいのが、野鳥たちの古巣さがし。
とにかく、いろんなところに去年の営みがみえるからです。
あそこにもここにもというくらいに巣がみつかり、「だれ」の巣かを調べて想像してみるのも楽しみのひとつ。
夏の間は木の葉も混んでいて見えなかった巣が、とにかくこの時期にはみんな無防備となってあらわになります。
そして、こうした古巣の観察から次なるシーズンへの予測をたてる訓練になるからです。
さらに、巣材を観察すればビニールなどが持ち込まれたりしていて、彼らがどんな視点で私たち人間社会と接触を図っているのかもわかるから楽しい、のです。
(Photo:ウメの木につくられたアカモズの巣。
梅園は適度に枝をせん定してくれるから、
野鳥たちにとってはかっこうな巣づくり場所です)
(Photo:ウメの木につくられたアカモズの巣に近づいたら、
荷造りに使われるビニールテープが使われていました。
このテープは最近の小鳥の巣材としては定番になりつつあります)
(Photo:林道脇にあったノジコの巣)
(Photo:ノジコの巣には、雪が積もっていました。
巣材は、まだまだ天然素材ばかり)
(Photo:街中のレストランの庭木につくられたカラスの巣。
こんなに人間に近いところなのに、カラスが巣づくりをするということは、それだけカラスに無関心な人間ばかりだということをカラスはちゃんと知っているからです)
(Photo:河川のニセアカシアに巣を架けたトビのです。
街に近い場所ながら、このように巣を架けるトビも増えてきました。
この巣は、現在でも使用中)
(Photo:モミの木に架けられたオオタカの巣。
この巣からは、50メートル下の畑で作業中の人々を観察することができます。
人間が無関心なのを承知しているから、オオタカも安心して巣づくりできます)
(Photo:こんな低いところにもホオジロの巣があります)
(Photo:すぐ脇を犬の散歩で歩くヒトがいても、この巣には気づかなかったみたいです)
(Photo:こんなところにも、ムササビの巣がありました。
ムササビは木のウロに棲みますが、たまに木の枝に巣をかけます)
(Photo:望遠で観察してみると、ムササビは居住中でした)
(Photo:これは、巣ではないけれどツキノワグマが秋にクルミを食べた痕です)
(Photo:こちらはオナガの巣です)
(Photo:キジバトの巣は、すけすけなのが特徴です)
このように、冬にはいろんな巣がみつかります。
もちろん、野鳥の冬の巣はすべて空き家です。
去年に子育てをしたあとの残骸と思っていいでしょう。
オオタカとかトビのような猛禽類は古い巣を補修して翌年も使うことがありますが、小鳥たちの巣は次の年にはまったく使われません。
なので、取り除いてしまってもいいのです。
そうすれば、近所にまた別の野鳥がやってきて巣をつくることだってあります。
こうした実験なども繰り返してみますと、野鳥にも「好き」な木とそうでない木があるようです。
また、古い巣をみながら車の通り道だったり、人が近所に集まる場所だったりしていることを考えると、野鳥たちはしっかり社会観察をしながら「安全」な場所を選んで子育てしているんだなぁ、ということにも気づきます。
もちろん、人や犬が散歩しているすぐ脇ですから、人間たちも気づいてないことを承知しているんだと思います。
こうして、古巣から逆に人間社会まで見えてくることが、ボクにはたまらなく面白いのです。
自然界ってやっぱりいろんなサインをだしながら語ってくれているんだなぁー、と思います。
はじめまして、こんにちは!
ムササビが木に巣をかけるのを初めて知りました。
驚きました。
あんなに体が出ていて寒くないのだろうかと心配になりました。
丸見えだし・・・(^^)
私も巣探しをしたくなりました。
いつも楽しい写真をありがとうございます。
佐藤さん、はじめまして。
自然界は、人間の想像をはるかに超えています。あらゆる生物は、自分だけで生きています。
病院も、福祉も、年金も… ありません。
それが、自然なんです。