ブラムリー・アップルと越後みゆきもち豚の2種の料理、ダッチオーブンで。
秋のプロローグ
空をみても秋、田んぼをみても秋。
桜の葉は日ごとに黄色にかわり、季節の舞台は静かに秋へとかわっていきます。
毎日にぎやかにくりひろげられていたセミの合唱も今は遠い昔のよう。
日がどんどん短くなっていくのに追い越されないよう、
庭仕事は時間をみつけてすすめています。
来年の春が待ち遠しくなる球根類はチューリップ、シラー・カンパニュラータ、
フリチラリアを手に入れたので、もう少し寒くなるまで植え込みを待ちます。
また、いろんな場面で活躍してくれた一輪車のペンキの塗り替えも。
そして、空が透きとおるように青く晴れた日、
村はずれの栗の木までの散歩がてら
小さな“秋の気配”を見つけて写真におさめていきました。
稲が刈り取られ静かな棚田や、沢水が流れ込んできらきらする水面がきれいな池。
だれに見せるためでもなく、里人の淡々とした美しい日常からうまれた風景です。
赤とんぼが道案内する坂道を草陰の赤い実をみつけたりしながら、のんびりと歩いて。
栗の木は雪の重みでつぶれてしまった廃屋のそばに立っています。
いがはあちこちに転がっているけど、中身は入っているかな~、ときょろきょろ。
「あっ、あった!」
「ここにも!」
靴でいがを広げ、大きな実をつまみだし夢中で拾っているとかごいっぱいになりました。
そんな、収穫の秋を楽しむある日、長野から大きな箱が届きました。箱の外には
「小布施屋」
の文字。
開けてみると、大きくてごつごつした青りんごが10個入っていました。
ファイヤーサイドのポールさんからの贈り物です。
これはイギリス原産の料理用に使われる、
「ブラムリー」
という品種のりんご、と添えられたパンフレットに書かれています。
日本では信州、小布施でのみ栽培されている特別なりんご。
イギリスの料理やお菓子の本を読んでいると、時折
“クッキング・アップル”と呼ばれるりんごが出てきます。
初めての味わいを知るため、いくつかの料理を試作してみました。
ブラムリーのほのかな甘みのペースト、それを入れたカレー、そしてアップルパイ!
このりんご独特の風味と歯触りを生かす料理ってどんなもの?
いろいろなレシピ、インターネットのりんごに関するページ、
イギリスに関するページなど見ていくと、
「りんごと豚肉」
の組み合わせが多く見られました。相性の良さから様々な調理法があるようです。
信州には“りんご”、越後には“もち豚”!それぞれの地域の大スターです。
そこで今回は「同じ素材」を使って、薪ストーブのトップと炉内での調理の使い分け、
また、火のとおったりんごと生のりんごの食感の仕上がりの違いなどを試して、
「ブラムリー」を楽しむことにしました。
ストーブトップでの料理
魚沼産みゆきもち豚の肩ロース冷しゃぶ、
ブラムリーアップルのおろしりんごソース。
(4~5人分)
- 豚肩ロース(うす切り)…400g
- そレタスやうす切りのパプリカ、クレソンなどのサラダ野菜 …適量
【おろしりんごソース】
- ブラムリーアップル(酸味のあるりんごならなんでも良い)…中1個
- 玉ねぎ …小半分(すりおろす)
- しょう油 …大さじ4はい
- みりん …大さじ2はい
- バルサミコ酢 …大さじ1はい
- コチュジャン …小さじ1~2はい
1.サーモメーター250度ほどになったストーブトップに
熱湯の入ったダッチオーブンをおき、熱い状態を保つ。
うす切り肉を一枚ずつ広げながらゆがき、色が変わったら、ざるの上にあげてさます。
2.肉を冷ますあいだに、おろしりんごソースをつくる。
ブラムリーアップルは芯をとり、皮をむいてすりおろす。
3.ストーブトップにタークのフライパンをおき、予熱したら
すりおろしたブラムリーと玉ねぎをいれ、調味料もすべていれ、
ターナーで混ぜながらふつふつとするまで加熱する。
4.全体に調味料がなじんだら、火からおろしてさましておく。
5.たっぷりの生野菜をそえて、肉を巻き、おろしりんごソースにつけながら食べる。
お肉を食べる時は野菜もたくさん食べて、と子供のころよく言われました。
これは、自然に野菜がたっぷりとれてヘルシーなメニュー。家族からも
「毎日食べても飽きない」
と好評でした。おろしりんごソースがさっぱりした味わいと、しゃりっとした
歯ごたえを残してくれる気軽な1品です。
ストーブ炉内での調理。
もち豚のブロックと秋野菜、ブラムリーのポットロースト。
(4~5人分)
- 豚ブロック肉 …600g
- かぼちゃ …1/4個
- さつまいも …1本
- にんじん …1本
- たまねぎ …1個
- アスパラガス …1束
- エリンギ …1/2パック
- にんにく …3かけ
- バター …大さじ1
- 塩 …適量
- ローズマリーなどのハーブ …適量
1.豚ブロック肉は多めに塩をしてキッチンのコンロなどで全面をしっかり焼く。
2.表面がこんがりしたらつぶしたにんにく、バターをいれて焦がさないよう、軽く火をとおす。
3.ダッチオーブンに肉をいれ、ローズマリーを散らす。
大ぶりに切った野菜類(アスパラとエリンギは除く)とブラムリーをまわりにおいていく。
ブラムリーは溶けやすいので上のほうに。
4.おき火になったストーブ炉内にクッキングスタンドをセット。
ダッチオーブンの真下には置かず、まわりを囲むようにおき火をおく。
5.12分ほどしたら、トップローディングドアを開け、
アイアンツールで少々ふたを開けて中を確認。
だいたい火がとおった時点で一度フロントドアからダッチオーブンを出す。
(トップローディングドアは開けてもストーブ炉内の温度が下がりにくいため、
こちらから確認したほうがよい)
6.皮手袋でふたを開け、アスパラとエリンギを入れ、再びストーブ炉内に入れる。
7.5分ほど炉内で加熱したらできあがり。
ただ、豚のブロック肉にしっかり火がとおっているか確認して・・。
ポットローストはダッチオーブンひとつあればできあがり、見た目も楽しい料理です。
秋の収穫祭をイメージして、彩りよく取り分け、
ブラムリーのおろしソースや塩を振ってあっさりいただきました。
ソースは、焦がしバターにしょう油を加えたものやマスタードなどを添えてもおいしい!
鍋のなかでとろけたブラムリーはまさにペースト状・・
そこへ食べよく切った熱々豚肉、さっぱりおろしソースを一緒にすると・・
もう~たまらないおいしさでした。
今まで味を想像するだけだったイギリスのクッキングアップル。
生食の場合も火をとおしても、他の食材をひきたてる場面、
また主役として扱う場合でもその際立った個性を失うことなく
1皿の料理の印象を強く残せる力強い大地の味でした。
深まりゆく実りの日々に、思いがけない食材との出会いはこの秋一番の素敵な収穫となりました。
ブラムリーファンクラブ
ブラムリーを愛する仲間たちがブラムリーに関するさまざまな情報を収集、発信するブログ。
皆さんのブラムリー対する愛情が伝わってきます。
ブラムリー問い合わせ先
小布施屋