宮崎学「森の動物日記」

森と里と野生動物たちから教わった自然のメッセージ 信州・駒ヶ根在住の動物写真家宮崎学のフォトエッセイです

火山噴火で動物たちは・・・


(Photo:静かに噴煙を上げる御嶽山。伊那市から権兵衛峠を越え、木曽の谷の向こうに望む)

「御嶽山」が噴火をしました。
大勢の方が犠牲になられてお気の毒でしたが、噴火を現実に感じて地球がまだまだ生きて活動中なことを再認識しました。
現代の日本人は、まさか火山が噴火するとは思いもよらなかったことでしょう。
それが、いきなり噴火したのですから、やはり、地球は生きているのです。
そんなところに、ボクたちもほんの少し、間借りして生かさせてもらっていることを実感しました。
火山が数百年も静かに眠っていたと思っても、火山の活動にしては昨日みたいな時間軸だったのかも知れません。
今回くらいそんな地球の大きさを感じたことはありません。


(Photo:地下トンネルにすむノネズミは振動などの変化を事前にキャッチしていたのかもしれません)

御嶽山にかぎらず、すべての山がこのように太古の昔から命のつながりがあり、そしてそこにはいろんな植物や生物を育んで、今日にいたっています。

御嶽山も噴火するまでは、頂上付近のハイマツ帯には数多くの植物や生きものがいました。
それが、いまでは噴火灰の下敷きです。
噴火するにはそれなりのサインが事前にあったことでしょうから、それが分かった生物は逃げることもできたのかもしれません。
また、逃げられなかった生物もいたことでしょう。

しかし、この噴火もあとどのくらい続いていくのか分かりませんが、いつかはやがて収まる時がきます。
そうすれば、少しずつ時間をかけて再び植物が復活し、生物が戻ってきます。
噴火する前までは、そんな生態を見せていたのがこれまでの御嶽山の姿だったハズです。
なので、灰の下に埋まってしまった植物や生物と同じものが、やがては現地に復活することでしょう。
でも、それにはすごい時間がかかっていくと思います。日本の自然はそうやって太古の昔からずっと繰り替えされてイマがあるからです。

同じ長野県内とはいえ、ボクが住んでいる中央アルプスの伊那谷側からは、御嶽山は見えません。
普段観察しているフィールドからは中央アルプスを越えた向こう側の谷なので、見えなかったとはいえ、今回の噴火を予知できなかったボクも心残りがあります。

ハイマツ帯の下にはノネズミやそれを捕食しているオコジョなどもいたことでしょう。
カモシカやツキノワグマだっていました。
そのような野生動物たちが噴火をしたときにどのような行動を取ったのか、とても興味があります。
ノネズミなどは、すでに噴火を予知して山頂付近から下界に移動していたのかもしれません。

今後御嶽山を中心にして、動物の動きがどうなっていくのか・・・・山の動物たちの行動に心を寄せていきたいと思います。
イマドキの現代人に「噴火」が自然のことにもっと注意しなさい、と気づきのサインを送ってきたのだ、とボクは考えています。

 (Photo:山に住む大型動物カモシカは、この受難にどうなったのか気になります)


(Photo:サルはハイマツ帯からはすでにいなくなっていたのでしょうが、それまでの観察が報告されていないので、噴火でどこへ行ったのかは不明です)


(Photo:植物を食べるノウサギは、ひょっとしたら噴火の事前キャッチはできないのかもしれません)


(Photo:モグラの仲間は目が退化しているので鼻や耳などが敏感だから、事前避難の可能性がある)

 (Photo:オコジョは高山帯に住む代表的なほ乳類です。その姿をいつも見られるわけではなありませんが、噴火でどうしているのでしょう) 

(Photo:キツネはノネズミを主食にしているから、ノネズミが移動すればキツネもいなくなるでしょう)

 (Photo:御嶽山の周辺近所に秋のクマ痕跡がどれほどあるかによって、ある程度の動向予測はできるから観察にでかけてみたいものです)

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