ノウサギはどこへいった
(Photo:晩秋、白くなりかけのノウサギ 約30年前に撮影 リバーサルを複写)
(Photo:冬になり全身が白くなったノウサギ 約30年前に撮影)
輝かしい2011年の幕開けとなりました。
今年の干支は、ウサギ。
元気に脱兎の勢いで走りぬける年となるのでしょう。
ウサギといえば、ノウサギ。
日本の山野には、昔からノウサギが生息していて私たち山里の民にはとても親しまれてきた動物です。
唱歌に
「♪うさぎ追いし、かの山、小鮒釣りし、ふるさと…」
と歌われているように、のどかで素敵なふるさとが昔は日本中にころがっていたはずです。
そうした原風景のなかに、ノウサギはたしかにいました。
雪が降れば、いたるところにノウサギの足跡があり、子供たちはそれを追い、うまく捕まえられればそれはそれは美味しいご馳走になった時代です。
(Photo:ノウサギが新雪を走ってきた足跡)
その昔は、ほんとうにノウサギはたくさんいました。
中央アルプスに「駒ケ岳ロープウェイ」ができたころ(1960年代後半)、ボクは「けもの道」の撮影のために、管轄区から許可を貰って、駒ヶ根高原からロープウェイ乗場までの道路を四輪駆動車で通っていました。
夜間にその林道を走れば、50頭ほどのノウサギがいたるところから出てきたものです。
ノウサギは、車のヘッドライトのなかをピョンピョンとしばらく道路にそって走っていって、やがて横っ飛びに藪へ消えていった思い出があります。
そのくらいノウサギはたくさんいました。
そのノウサギが、ここ30年ほど前からめっきり姿を消してしまいました。
とにかく、同じ道路を車で走ってみても、まったくノウサギは出てこなくなったのです。
雪が降っていろんな動物の足跡が見られるのに、ノウサギの足跡はひとつも見つからない状態・・・。
どうしてこんなにもノウサギがいなくなってしまったのかと考えれば、どうやら周辺環境の樹林の変化にあることがわかりました。
ノウサギは、敵と戦う武器を持っていません。
このため、唯一の武器は、感度のよい耳で敵の存在をいち早くキャッチし、脱兎の勢いで全力疾走をして逃げることです。
このためノウサギは、スキー場とかゴルフ場のように遠くまで見通せるような環境がなければ、得意の「逃げる」という武器を使えません。
見通しが悪く斜面のあるような場所でキツネやテンなどの天敵とニアミスをおかせば、ダッシュ力にまさる天敵に、あっという間に捕まってしまいます。
(Photo:ヤマブキの小道を歩くノウサギ 約28年前の撮影)
その昔、広大な面積が皆伐されていた当時は、ノウサギはたしかにたくさん生息していました。
ノウサギは山野の地肌が出ているような明るい草原が好きなのです。
その後山に植林がされ、下草も刈られないまま放置が続き、雑木林は年々繁茂しはじめます。
そこはまさにノウサギの住めない環境になってしまったと考えていいでしょう。
藪があってはノウサギは走りにくいし、敵が近くにいても気がつかずに捕らえられてしまうのです。
大きな樹が増えてきた森では、サルやツキノワグマのような樹上にまでいける動物たちが激増してきます。
このように、野生動物が極端に増えたり減ったりすることは、自然界のバランスが悪いことなので私たちはそのへんのバランスを考えて自然を見ていくことが大切なのではないかと思います。
中央アルプス山麓にノウサギが再び定着できるようになるには、樹木がさらに成長して森の林床に隙間ができ見通しが利くようになってからでしょう。
それまでには、あと20~30年の歳月が必要なのかもしれません。
(Photo:人里にあるノウサギの足跡。こんな光景はめったにみられません)
(Photo:なかなか出会えない動物は糞を発見することでその生息を知ることができます)
(Photo:こんな食跡をみつけたら、近くにノウサギが・・・)
(Photo:フランス料理では今でもノウサギの料理が普通ですが・・日本ではみられなくなりました)
明けまして おめでとうございます。
よい新年をお迎えでしょうか?
野うさぎの数も減っているんでしょうか?
35年ほどまえ、ウサギを飼ったことがあります。
当時は、まだ、ペットとして飼う人は少なく、ミニウサギということで購入しましたが
どうやらウソだったようで、大きく育ち、ただの野うさぎだということがわかりました。
それでも、慣れて可愛く、7年後に死んでしまったときは、とても悲しかったです。
見た目の可愛さから、ウサギをペットにする人が増えているようですが
途中で捨ててしまう人も多いので、捨てウサギが増えてるとか、、、
自然のものが減って、人工的なものがどんどん増える
困った時代になってますね。
今年は2004年に伊吹山の林道で偶然であった野兎の写真を年賀状とHPのトップに使いました。車の前に飛び出してきて危うく轢いてしまいそうでしたがウサギのほうもびっくりして立ち止まったところを撮影することができました。
今思えば貴重な出会いだったのですね。
あれ以来同じ場所を何度通っても現れません。
今はスキー場跡も広々としていますが木々が生い茂ってくると見晴らしの良い場所も少なくなってウサギにとっては住みにくい環境になるということですね。
ボランティア活動で行っているススキ狩りやお花畑の整備がどんなふうに影響するかはずっと後になってわかることですが伊吹山にはクマ、イノシシ、キツネ、アナグマなどが生息しています。彼らにとってもスキー場跡地や森とお花畑の荒廃がどんなふうに影響していくのか興味深く見ていきたいと思います。
車山のの時は有り難うございました。
ノウサギですが山を挟んだボクのフィールドでは増えてます。
勝手にげんこつ山と呼んでいるんですが、久しぶりに行ってみたら足跡が沢山ありました。ノウサギの他にはキツネ、イタチなどの足跡もありました。
無人カメラを設置出来れば、写真撮れそうです。
げんこつ山と呼んでいるのは、タヌキがいたんでそう呼んでいるだけです(笑)
■Meiko さん
ミニウサギが「大ウサギ」にって、よく聞く話ですね。
たぶん、アナウサギの仲間だと思いますから、山野に放すことはよくないと思います。
穴を掘って潜みますからどんどん増殖してしまって、困っている地域もあるくらいです。
やはり、自然を的確に見られるように、ボクも、少しでも文章などで頑張るつもりです。
■C-NA さん
息吹山には、ノウサギが多いのかもしれませんね。
ちょうど、いまは雪がありますから、雪上の足跡で多いか少ないかの実感はつかめます。
閉鎖されたスキー場なんかは、5年単位くらいで植物や野鳥、動物相を観察していくと面白いです。
そのなかに、必ずノウサギの増減も含まれていますから、動いている自然を目の当たりにできます。
■山犬 さん
ノウサギは、そちらでは増えているんですね。
こちらでは、森が100年に向かっている最中の「繁茂期」なのでノウサギが少ないと見ています。
あと、30~40年もすれば森も安定期にはいってくるから、若干の出現があるのではないか、と。
ノウサギは、木を切った直後から急速に増えてやがて減少期を迎えますから、そちらへ周辺環境の調査にでかけてみたくなりました。
こちらへお越しの際は案内します。
「なんでこんな場所に!」といった場所です。
去年、山道の土手の上にいるノウサギを見かけました。
ちょうど「イノシシは熊のニセモノだった?」の3枚目の写真にある、木の根が垂れて簾のようになっている場所でモゴモゴしていたので、撮影して年賀状に使いました。
50年前の貧しい農山村では貴重なタンパク源で、「兎追い」は学校の給食に肉を供するための年中行事でした。
また針金を丸くしただけの簡単な罠を通り道に仕掛けておくとかかってくれたので、肉を煮焼きして食べるだけでなく、頭蓋骨を真っ黒になるまで焼いてから脳味噌をほじくり出して食べた思い出があります。
この話をすると女子供が逃げていきますが。
うさぎをみて、こんなに思いを高められるとは。やはり感性が豊かなのでしょう。一月二日、降雪のブナ林の撮影に出かけました。50㎝位でしょうか。かんじきで五歩進んでは1shoot.角度を変えて1shoot.3㍍先のブナの根元から白うさぎが飛び出しました。民家から300㍍ですが、すてきな時間をえられました。
■久保の家 さん
学校給食の肉に「ノウサギ」とは、豊かな時代でしたね?
ボクらの世代では、ノウサギは近所にたくさんいましたが「給食」にまでは供給できませんでした。
それが、現在では、ノウサギはほんとうに少なくなりました。
ライフエネルギーが「薪炭」になればまた復活もするでしょうが、
その代わりに、ツキノワグマのような動物は減っていくと思います。
■高戸 二三男 さん
こちらは、照葉樹林帯とブナ帯との中間地点なので、ブナ林はほとんどありません。
ですから、ノウサギも雪が少ない地方なので、冬でも褐色の体毛のままのが9割をしめています。
白くなるのは、ほんとうに数が少ないです。
自然の中で、すてきな時間を過ごせることはとても幸せなことだと思います。