宮崎学「森の動物日記」

森と里と野生動物たちから教わった自然のメッセージ 信州・駒ヶ根在住の動物写真家宮崎学のフォトエッセイです

オス?メス?野生動物たちの性別くらべ

森で野生動物たちに出会うだけでもうれしいことです。
その動物たちがオスなのかメスなのかが分かると、さらに想像も膨らんで面白くなるものです。
しかし、そこまでなかなか分からないのが野生動物観察の難しさ…。
でも、少しはヒントをもって観察してみるという余裕もあれば、彼らだって教えてくれないこともない。
そこは、根気と知識と想像力と観察力にかかってくると思います。
こうして、少しでも雌雄が分かってくるとこれまた自然観察の楽しさも増します。
今回は、難しいけれど少しだけ野生動物の性別を見分ける方法を説明してみることにしました。

(1)ニホンザル

サルは群れで行動していることが多いから、雌雄の見比べができてすぐに判定ができます。大人のオスザルは秋になると睾丸が真っ赤に色づくので、きわめて目立ちます。
いかに男らしさ?の勝負をしているかも分かって面白いものです。
まあ、サルに関しては人間を想像していけばいいのです。

(2)ニホンジカ

シカは、オスに角がありメスにはないので容易に区別がつきます。
若いオスには枝分かれしない一本だけの角が生えますから、この特徴を覚えておけばいいでしょう。
もっとも晩冬から早春には角が落ちてしまいますが、ちょっとだけ季節をガマンすれば春から再び角も生えてきますので雌雄のちがいはわかります。
シカの角は毎年生えては落ちてを繰り返すことを覚えておくといいでしょう。

(3)ニホンカモシカ

カモシカは、牛の仲間なので角は雌雄ともにあります。
短くて小さな角ですが、これはカモシカにとって最大の武器なのでこの角を侮ってはいけません。
とにかく、猟犬をもカンタンに刺し殺してしまえるだけのパワーがあります。
このように、カモシカは雌雄に角があるため外観だけでは雌雄の区別がなかなかつきません。
そこで、時間がかかりますがじっくり行動観察を続けていると、放尿現場に出会うことがあります。このときのスタイルで区別がつきます。
オスは腰を若干低くする程度で放尿しますが、メスは腰をかなり低くして放尿します。
このちがいを知っておけば、遠くからの観察でも雌雄の区別をすることができます。

(4)ノネズミ

ノネズミは動きが素早いので雌雄観察の目視は不可能にちかいです。
このため、写真判定に持ち込むのですが、動きを止めた静止画だと比較的簡単に雌雄判定はできます。
オスのノネズミは精巣(矢印)が大きく膨らむことがありますから、そこがポイントです。
これに対して、メスはオスのような膨らみをもちません。

5)ツキノワグマ

クマの雌雄判定はきわめて難しい部類に入ります。
あの小さな尾が肛門からメスの性器までをも隠してしまうので、写真判定でもかなりの長時間観察と撮影テクニックが必要になってきます。
それでも、オスの場合には立ち上がったり角度によってはペニスと睾丸が見えますからそこで判定ができます。
また、メスは夏の発情期には陰部が腫れて大きくなりますから、このときが判定のチャンスとなります。

(6)ニホンリス

リスはネズミと同じく動きが速いので雌雄の判定は難しいですが、それでも枝先などで立ち止まってくれることがありますから区別ができないわけではありません。
オスの場合には正面から見るとペニスを見せてくれることがよくあります。
また、空中を飛ぶようなときには写真判定となりますが、オス(矢印)はメスにくらべて陰部が逆富士山のようになりますからかなり容易に区別がつきます。

(7)ヒグマ

ヒグマのメスの放尿シーン。恥ずかしそうに少ししゃがみます。
通常メスはかなり腰を低くして放尿しますが、オスはちょっと腰を落とすだけで高い位置から放尿します。
ツキノワグマとともにこのように放尿シーンに出会わないかぎり、ヒグマも雌雄判定は難しい野生動物といえます。

(8)チョウセンイタチ

カキの木を下ってくるチョウセンイタチですが、角度によっては睾丸(矢印)がよく目立ちます。
ニホンイタチでも同じことがいえますが、イタチは雌雄で体の大きさがかなり違いますのでそこを覚えておけば体型で区別がつきます。
オスのイタチはメスより二回り以上も体が大きいく行動的なので、一瞬の出会いでも雌雄の区別は可能となってきます。

(9)キツネ

木陰でキツネがそっと放尿しているのはメス。
キツネは犬の仲間なので、オス犬は片足をあげて放尿することが多いものです。これに対してメスは写真のように腰を低くして放尿します。
このちがいを犬などの観察を通して覚えておけば、フィールドでキツネの行動に出会っても雌雄の区別は容易につきます。

(10)リス

オスのリスは写真のようにときどき立ち止まってくれることがあり、そのときにはくっきりとペニスがみえます。
メスのリスにはこれがないので、このポイントさえ覚えておけば大丈夫です。

(11)テン

テンは、イタチの仲間なので雌雄判定はほぼイタチと一緒になります。
しかし、テンはイタチとちがって雌雄の大きさにあまり差がないので外見での区別はつきにくいものです。
写真のように、こうした角度から撮影ができるとオスには睾丸がありますので判定は可能です。

12)ヒメネズミ

巣穴に飛びこむ瞬間のヒメネズミのオス。
オスは写真のようにくっきりとペニスが見えます。
ヒメネズミのペニスは肛門から離れたところにありますね。このような角度の写真は滅多に撮れないので貴重です。

 

日本の野生動物は地味で警戒心も強く観察しにくいところもありますが、こうして、少しでも雌雄のちがいや行動などを見られると、また別な楽しみもでてきます。

それには各動物とその仲間たちの傾向を、あらかじめ知っておくと良いでしょう。
たとえば、タヌキはキツネと同じイヌ科なので、キツネやイヌに似た行動をしますから、そのような点に注意しながら観察していけば良いのです。

 



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