フォトエッセイ「写風人の薪焚き日和」

風のように自由気ままに撮り続けたい…カメラマンの視点から綴る日々の薪ストーブライフ

薪焚きバケーション

……暖かな揺らめきを魅せてくれるでしょうか!?

期待に胸ふくらませ締めくくった前回のコラム
あいにく、アンコールはまだ設置されていない。

最も火の恋しい季節だというのに、
薪ストーブが焚けないもどかしさ。
このウップンを晴らすべく、野外での薪焚きに没頭した。

 

この2ヶ月、南信州には何度か訪れました。
日帰りの時には、早起きが苦手な私でもパチッと目が覚めるのです。

日の出に間に合えばこの景色が拝められるから。
朝陽に映える中央アルプスは、写真心をくすぐります。
カメラを取りだし、ホワイトバランスをマニュアルにセット。
ブルーアワータイムは色温度を電球色にすると、
鮮やかな青い空を演出してくれます。
気が済むまで撮影すると、いざプライベートフィールドへ。
我が山荘はこの先の山麓にあります。

この地には、大自然を背景に焚き火できる楽しみがあります。
薪を焚いて過ごすだけの休暇。
極めて割安な薪焚きバケーションなのです。

 

単純な焚き火ほど奥が深い

この夏、伐り倒した枝や木は、
あえて枝払いをせずに緑の葉を残してあります。

春までこのまま放置しておくと
葉は木の芯の水分を抜きながらゆっくり枯れていきます。
これは「葉枯らし」と呼ばれ、
美しい木肌の材として用いられるようです。

そんな訳で、フィールドの枝や木はまだ乾燥しきっていません。

焚き付け集めは、リヤカーを引きながら近くの森へ出掛けます。
炎が落ち着ちつけば多少の生木でも大丈夫ですが
しっかり乾燥した枯れ葉や小枝から焚き始めるのが焚き火の基本です。

焚き火は火を育てるとよく言われますが、
様々な焚き火スタイルを試みるのも楽しみのひとつです。
便利な焚き火ツールは使わず、
自然の石や枝を利用しながら、先人の知識や技術を習得する。
単純な焚き火ほど奥が深いものだと感じます。

私がよく利用する枝は、トの字型。

枝を支え合えば、ロープで縛らなくても三脚が組めます。


中心から鍋を吊せばしっかり安定するので、
重いダッチオーブンでも料理は可能です。


この日はZCOO-SHOPの松澤さんが作業を手伝いに来てくれました。


冬の野外では鍋料理に限りますね。
ランチは点心鍋で身体の芯まで暖まりました。

逆トの字型が便利なのは、
自在鉤としても利用できるし、杭としても打ち込める事です。

Y字型の枝では、打ち込むと割れてしまいますからね。


そうして出来たのが物干しスタイルの焚き火。
たくさんの鍋やケトルが吊り下げられるし、ツールやタオルなども利用できます。
田渕義雄さんの著書に紹介されていたので真似てみました。

 
この日は正月明けの休暇。
新年早々、ポール社長も遊びに来てくれました。


ランチメニューは野菜いっぱいの簡単ポトフ。


そして薪ストーブのグリドルを利用したステーキです。


グリドルは表面が研磨され、
外周には油をキャッチするための溝が施されています。
これは、グリドルの上でステーキが焼けるという
バーモントキャスティングスの遊び心だそうです。
しかし、これを室内でやると煙と油で大変なことになりますが、
野外なら思う存分ステーキを楽しめます。

やがて日が沈み、夕食の支度。

といっても、寒い屋外でチマチマと仕込みは面倒。
残りのポトフにカレールーを入れるだけで済ませました。
カレー風味は食欲をそそるし、こっちの方が美味しかったですね。

 
それにしても南信州の夜空は星が多い。

普段はデファイアントの前で炎を眺めていますが、
たまには星空の下、焚き火の炎に酔いしれるのもいいものです。

次回こそはアンコール(旧タイプ)の炎と星空が眺められるかな・・・?

と締めくくるつもりでしたが、
コラムの原稿締め切り間際に、嬉しい一報。
煙突工事の連絡が入ったのです。
締め切りを少し延ばしてもらい、煙突設置と火入れ式の様子を追記いたします。

 

煙突設置と火入れ式

工事は私の地元ファイヤーライフ岐阜さんにお願いしました。
増税前の忙しい中、一日だけ空けていただいたので煙突は壁抜き。
炉台は今年の冬だけALCとタイルの仮設。
壁までは離隔距離を設け、
炉壁はシーズン終了後にじっくりと作りたいと思います。

わざわざ岐阜から工事に来て頂いたので、
ランチは焚き火料理でおもてなし。


メニューはグリドルステーキとキーマカレー。
奥のホタテは松澤さんの差し入れです。


手前のキャンプダッチオーブンでは、
番組のレシピを真似たアボガドのツナマヨネーズ焼き。


糖質制限のダイエットレシピです。
ツナ缶とマヨネーズを混ぜ、半分に切ったアボガドの中に詰め、
チーズをのせてキャンプダッチオーブンの上火で焼き上げます。


あまりの寒さに、室内でのランチタイムになりました。

そして煙突の設置は・・・


午後8時に工事完了。遅くまでご苦労様でした。

さぁ、待ちに待った南信州での火入れ式です。

18年の薪ストーブ歴をもってしても、
最初の火入れは感動しちゃいますね。
まったく私らしくないシンプルな薪ストーブ風景ですが、
どのようにコーディネートしていきましょうか・・・?

 

(隔月連載。次回の更新は4月上旬です)

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コメント

  1. 写風人さんこんばんは
    本当に2か月で更新されるんですね
    そろそろかなと思って見てみたらなんと暖かいストーブの火が燃えて
    実に良かったですね。
    私もダッチウェストの薪ストーブ使ってます。
    暖かさと、炎のゆらぎが好きです。
    ところで
    たき火の薪が豊富でいいですね、こちらではそろそろなくなりそうで
    心細い状況なもので。では今度は4月ですね。

    • ageさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      私のコラムは偶数月の上旬ですので、またよろしくお願いします。

      室内で焚き火する訳にはいかないので、今まで火が恋しかったですよ。ただ週に一回行ったとしても、まだ慣らし焚きの状態なのでガンガン焚けないのがちょっと残念ですが・・・。
      4月のコラムには燃えさかる炎がお見せできると思います。

  2. いつもご馳走になっているmatsuzawaです。
    ストーブ設置、おめでとうございます。
    どんどん夢が叶っていきますね。

    写風人さんが初めて弊社に来社した時、私は倉庫でお目にかかり、
    確か初めての会話は「ショールームのオールド・デファイアントは
    ご覧になりましたか?」だったと思います。懐かしいです、今では。

    焚火って結構、頭使うんですね~

    良き師匠に出逢えて光栄です。

    • matsuzawaさん、ありがとうございます。
      薪ストーブが設置できたことは、何より嬉しいです。
      暫くは慣らし運転ですが、大切に使っていきたいと思います。

      matsuzawaさん、記憶力いいですね。
      私なんてファイヤーサイドさんに訪問しただけで頭真っ白。興奮の連続でほとんど覚えていません。

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