フォトエッセイ「写風人の薪焚き日和」

風のように自由気ままに撮り続けたい…カメラマンの視点から綴る日々の薪ストーブライフ

3台の薪ストーブと改めて感じる森暮らし

6月も後半。
梅雨とは思えないほど晴れの日が続きます。
私にとって雨の日が少ないということは、薪割りや草刈り、リフォーム後の片付けなど
外での作業が山ほどあるので有り難い事ですが・・・。

4月末には工事も無事終わり薪ストーブも設置されましたが
まだ岐阜と駒ヶ根を行ったり来たりしています。
ただ以前の週末通いに比べ、駒ヶ根で過ごす日が多くなったので
今までに気がつかなかったことや感じられなかったことなど多々あります。
新たな環境と共に、火のある暮らしを少しずつ紹介していきたい思います。

まず生活の要となる薪ストーブは3台設置しました。

煙突も新たに2つ増設し、そのひとつが玄関です。
研修施設として多くの人が出入りするためでしょうか、やたら広くて寒い玄関なのです。


ただ玄関の天井は複雑な形状をしているので、
果たして煙突がうまく貫通できるかが心配の種でした。


設置業者さんと相談しながら全てを委ねました。
天井裏の構造上「もうここしかない」と唯一の貫通場所を探り
30℃曲げを最小限に使って理想のポジションにアンコールを設置して頂けました。
対面にベンチを置き、玄関先でも落ち着いて話し込める空間です。


この炉壁は初めてアンコールを設置した時に手作りしたオリジナルタイルです。
» 2014年12月のコラム
自分で施工したので解体時にはタイルを再利用出来ないことは理解していました。
しかしタイルは1枚も割れることなく解体。
大工さんお見事!です。
タイルとALCが張り付いたまま撤去されたので、
壁との空気層を設けタイルの上から直接ビス留めして仕上げました。

もう一つの煙突はメインルームの北側。

室内をご紹介する前に、まず薪の現状報告をしたいと思います。
12トンの原木は、まだ1/3程度が玉切り状態のまま残っていて、
新たに赤松、ヒノキ、白樺が手に入りました。
赤松・ヒノキはご近所の森で大量に伐採されているので、玉切りを手伝う度に増えていきます。
ただ今から割る薪は来シーズンには燃やせそうにないので
今年に限っては乾燥薪を購入することになりそうです。
3台の薪ストーブを焚くと1シーズンどれだけ薪が必要なのか
一度経験してみないと分からない事もあります。
またどのように薪を確保するか、いつまで手割りを続けられるか、薪づくりの課題は山積みです。


こちら腕の太さほどの原木は、
車のルーフキャリーに積んで岐阜から運び込んだものです。
手作りの枠にまとめて入れ、45cmほどに一気に伐っていきます。
樹皮が付いたままでは乾燥しにくいので、
キンクラなどで半分に割ると乾燥も早いです。
早速キンクラで割るシーンを撮影してみようと原木を手に取ると、
薪棚からカミキリ虫がウヨウヨ・・・。


薄黄色に黒い紋があるキイロトラカミキリ。
カミキリ虫は日本だけでも800種類はいるそうですが、この種は始めて見ました。
かなりの数が交尾していたので、これから卵を産み付けていく時期のようです。
幼虫(テッポウムシ)は生木に穴を開ける林業にとっては害虫的存在。
薪ストーブユーザーにとっても、薪を穴まるけ粉まるけにする厄介な存在です。
今回は殺虫スプレーを薪棚に噴射してみると、大量のカミキリ虫が這い出てきました。
週末通いでは気がつかなかった虫の多さに戸惑っています。
顔にまとわりついて、いきなり目に飛び込んでくるメマトイや家の中に徘徊するコメツキムシ。
毛虫もやたら多く、枝からぶら下がっていたり外壁を徘徊していたり・・・。
初夏の森暮らし、虫嫌いの私には克服しなければならない季節です。

虫の話で長くなってしまいましたが、メインルームの話題に戻ります。

部屋の北側には土足のまま入れる扉を設け、土間を作りました。


土間には岐阜から持ち込んだデファイアントを設置。
ケトルやダッチオーブンなど調理道具を周辺に収納し、主に薪ストーブクッキングのスペースになります。


煙突は垂直に上げ、屋根を貫通させています。
NOVAの断熱2重煙突6インチを使用して全長6メートルほどの煙突になりました。


50畳ほどのメインルームは中央をパーテションで仕切り、北側をワークスペースに。
パーテションに沿ってデスクとパソコンを置き、ここでコラムを書いています。


そして反対側、以前アンコールが置いてあった部屋にはロギを設置しました。


絨毯や家具は何も新調していないので新鮮味がありませんが、
こちらの部屋はロギのモダンさを活かすよう、なるべく飾り立てないように心掛けています。
私の場合、部屋に合った薪ストーブではなく、薪ストーブに合わせた部屋作りです。

冒頭に岐阜と駒ヶ根を行ったり来たりと申し上げましたが、改めて感じるのは朝夕の気温差。
週に2日ほど岐阜に帰ると、明らかに違いが分かります。
6月に入っても駒ヶ根では冷え込む夜が多く、
服を着込むだけでは耐えきれずつい薪ストーブを焚いてしまいます。
ロギを無理矢理焚いてみたいこともありますが・・・。

アンコール・デファイアントになれているので最初は少し戸惑いましたが、
HETA製ストーブはまったくの別物といった感じです。
もう少し使いこなしながら、ロギの魅力は改めてご報告したいと思います。

 
(隔月連載。次回の更新は2019年8月下旬です)

 

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