フォトエッセイ「写風人の薪焚き日和」

風のように自由気ままに撮り続けたい…カメラマンの視点から綴る日々の薪ストーブライフ

ティピでガーデンキャンプ

初めてファイヤーサイドに訪れた時に、
とても印象に残っているのが天然石で作られた大きなファイヤープレースでした。

イラストレーターの伊東孝志氏によるデザインと聞いています。
この頃はまだ駒ヶ根に拠点をおく前でしたので、
ガーデンにこんな素敵なファイヤープレースを作りたいなぁと考えていました。
そんな願望もあって土地探しの条件は焚火が思う存分できる環境であることでした。

3年前にやっと念願の森暮らしを実現できたものの、
いまだに理想のファイヤープレースを作れないまま、
あっちで燃やし、こっちで燃やすといった遊牧民的焚火が続いています。

それはそれで面白みもあるのですが、
将来的には、デッキで洒落たガーデンキャンプができるファイヤープレースも夢です。
そんな中、昨年の9月にティピが発売され、鉄サビアートにはとても興味があったので、実物を見るのがとても楽しみでした。

 

ティピ体験レポート

今年の3月、ティピがいよいよ我が家に!

全長150cmタイプです。
一人で運ぶには重すぎるので、
車から引きずり下ろしパーツ毎に設置場所まで運びました。
組み立てはビスを締めるだけなので、なんら難しいことはありません。


最初は素手で触ると指紋が目立つほど鋼鉄の光沢感があります。
設営後すぐにでも火入れしたくなりますが、
始めに熱を加えてしまうとサビの発生に支障をきたす場合があるとのこと。
サビるまでしばらく我慢です。


雨風にさらし1ヶ月が経過すると、赤茶色のサビに覆われ始めました。
この鋼板は表面にサビができる事によって
それ以降のサビを抑制するコールテン鋼が使われているそうです。
ですから野外に放置したまま、
磨いたり手入れする必要もないので、私のような無精者にぴったり。
また年を重ねるごとにより深みのある暗褐色へ変化していくのも楽しみのひとつです。

ティピは直火ほど風の影響も受けにくく、大地へのダメージも少ないので、
ファイヤープレースを諦めていた方も実現可能なアイテムかもしれません。
設置はレンガや石材を土台にしたほうが安定性が良く、
ティピより少し大きめの土台にすると向きを自由に変えられます。


薪のくべ方は人それぞれですが、
私は炉床に焚き付けを多めに組み奥に何本か立てて着火材で点火します。
マッチ1本で簡単に着火し、煙も少なく勢いよく燃えてくれます。
ある程度火が落ち着いてきたら、
広葉樹(堅木)に切り替えていくと火が長持ちし熾きも蓄えられます。

 

ティピでクッキング

ティピを使ってささやかなガーデンキャンプです。

焚火キャンプでいつも最初にすることはお湯を沸かすこと。
チェーンを使ってグランマーコッパーケトルを吊してみました。
但し木製ハンドルは燃えやすいので、ハンドルを外した焚火仕様にしています。


次に焼きパイナップル。
野外では大胆なシーンが良く似合います。
ほとんどの果物がそうですが、
加熱することで独特の酸味が抑えられ甘みがより強調されます。
また皮をむいて焦げた表面を削りながら食べるのもシュラスコ風で旨いです。

程よく熾きが蓄えられた所で、クッキングスタンドをセットしフライパン料理。
(タイプ150には、便利なグリルがオプションで用意されています。)

若鶏と野菜のハーブ焼き。
鶏肉をクレイジーソルトと刻んだローズマリーにまぶします。
じゃがいも・ニンジンは加熱し、ブロッコリーは茹でておきます。
フライパンにオリーブオイルを入れ鶏肉を焼き、
中まで火が通ったら野菜を加えて軽く炒めます。
皿に盛り付けることなく、このままフォークにさして食べるのも醍醐味です。


食後はコーヒーを飲みながら、陽が暮れるまで炎と過ごします。

ど~んと大きな丸太を入れて優雅にくつろぐもよし!
ちびちび燃やしながら炎のおもりをするもよし!
アウトドアでアートな焚火を愉しみましょ!

話は変わりますが、
このティピにくべた薪はすべて小径木用ウッドチョッパーで割りました。
薪ストーブ用の薪をもう少し小割したい。
焚火キャンプで割る・伐る・削るといった薪づくりをしたい。
そんなシーンに相応しいのがこの斧なのです。

 

ワイルドキャンプパーにこの1本

最近、キャンプでも四季を通じて焚火シーンを見かけるようになりました。
薪は持ち込む場合もあれば、現地で広い集めたりキャンプ場で購入したりと様々です。
そこでお薦めの1本がスプリッティング系で唯一の片手斧ウッドチョッパー(写真上)です。

多目的用のハンター(下)と比べてみると、柄の長さはほぼ同じですが、
ハンターの斧頭600gに対してウッドチョッパーは1100gと約倍の重さがあります。


例えばナラの薪束を購入して小割にしたい場合、
キンドリング系の刃の形状は堅木を割るには少々無理があるのです。
その点スプリッティング系のウッドチョッパーは、斧身が重く分厚い形状で破壊力抜群です。


立った姿勢でも、


腰を落とした姿勢でも、片手で難なく割ることができます。

またキャンプでは割るだけでなく、あらゆる場面での使い方が必要になります。

現地で倒木や枝木などを広い集め、それらを叩き伐ることも容易です。


プロテクター部分を握れば刃先に集中力が増し、
樹皮を剥いだり木を削ったりすることも出来ます。
ただキャンパーなら誰しもナイフの1本や2本は持っているでしょうから
斧にそれだけの鋭さを追求する必要はないと思います。

アウトドアアックスがキャンプ用軽量斧なら
ウッドチョッパーはワイルドキャンパー向けヘビーアックスなのです。

 
(隔月連載。次回の更新は8月上旬です)

 

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