フォトエッセイ「写風人の薪焚き日和」

風のように自由気ままに撮り続けたい…カメラマンの視点から綴る日々の薪ストーブライフ

薪ストーブ料理は俺に任せろ

「男子厨房に入らず」
元々は孟子の「君子、庖厨(ほうちゅう)を遠ざくる也。」からきた言葉で、
君子は生あるものを哀れむ気持ちが強いから、
生き物を殺す料理場に近づくことは忍び得ないという意味。

日本では若干捉え方が異なり、
男子(武士)たるもの社会の実権を勝ち取るために戦い、
女子がするような炊事場に入るべきではない。
という男尊女卑という価値観でみていたようです。

ちなみに現代なら、
「台所でウロウロされると邪魔だから入ってこないで。」
と、こんな状況もたまにはあるでしょうか?

そんな時にこそ、
鉄鍋を片手にぶら下げ、「薪ストーブ料理は俺に任せろ!」と言っていただきたい。

ちなみに「男の料理」のイメージを数人の女性に聞いてみました。

  • 作るだけ作って後片付けしない。
  • 金銭感覚がない。高価な食材がいいと思っている。
  • 変わった料理に挑戦したがる。凝った割には不味い。
  • 豪快というイメージはあるけど、ウチの旦那は一切料理しない。
  • アウトドアでしか作らない。しかも肉料理ばっかり。

・・・等々、どうも好印象の答えがなく、聞いた女性に偏りがあったようです。

料理好きな男性は別として、
「料理は女性任せ」と思っている男性諸氏。
手間暇掛けずに、安上がりで豪快にみえる丸ごと料理に挑戦してみてはどうでしょう。
ビギナーでも失敗しない定番料理をいくつかご紹介します。

 

俺に任せろ1-マグロの兜焼き

まずは「マグロの兜焼き」。
グロテスクではありますが、豪快そのもの。

スーパーなどで手に入らない場合は、
ネットで購入しても2000円以下で手に入ると思います。
マグロの大きさに合わせて、
10インチか12インチどちらか2つ必要です。
冷凍なら自然解凍し、仕込みはお酒をふりかけ粗塩をまぶす程度。


ダッチオーブンを二つ重ね合わせて、
炉内で1時間ほど蒸し焼きにします。

身の引き締まったお肉のような食感は、
マグロとは思えないほど美味しいです。
(但し、部屋中が魚臭くなりますけど・・・。)

 

俺に任せろ2-鶏の丸焼き

来月はもう12月。
今年のクリスマスは薪ストーブで「鶏の丸焼き」なんてのはどうでしょう。

七面鳥は無理としても、
ブロイラーなら1羽1000円~1500円で購入できると思います。

作り方は様々ですが、初挑戦ならごくシンプルに。
鶏全体に(お腹の中も)塩コショーを多めにまぶし、
にんにく数個とローズマリーをお腹に詰めて仕込みは終わりです。

ダッチオーブンの底に網を入れ、その上に鶏一羽を放り込んで炉内に入れます。
30分ほど経過してから人参やじゃがいもを加えます。
1時間もすれば、ボリュームたっぷりローストチキンの出来上がり。

 

俺に任せろ3-かぼちゃ丸ごとグラタン

ハロウィンは過ぎてしまいましたが「かぼちゃ丸ごとグラタン」
シンデレラグラタンとネーミングすれば、これもクリスマスにピッタリです。

少ない材料で調理も単純に、
敢えて電子レンジは使わず薪ストーブだけで作りました。

  • かぼちゃ …1個
  • ブロックベーコン …200g
  • シーフードミックス …適宣
  • ホワイトソース …1缶
  • 牛乳・チーズ・塩・コショー・コンソメ …適宜

ストーブトップでグラタンの具を作ります。
スキレットをプレヒートし、1cm角に切ったベーコンを炒め、
シーフードミックスを加えます。
ホワイトソースを加え、牛乳でのばし、コンソメ・塩・コショーで味を調えます。

炉内でかぼちゃを蒸し焼きにします。

かぼちゃの上をナイフで切り取り、種を取り出し、
薪ストーブの炉内で30分ほど蒸し焼きします。
柔らかくなったかぼちゃの中に先ほどの具を入れ、チーズをふりかけます。


今度はダッチオーブンの蓋を外して炉内に入れ、
チーズに焦げ目がついたら出来上がりです。

グラタンはあっという間になくなってしまいますが、
かぼちゃは食べきれないと思います。

残ったかぼちゃは、野菜をたっぷり入れてかぼちゃシチューに。
それでも残ったら、今度はかぼちゃのポタージュスープに。
ちなみに我が家は5日かけて、かぼちゃを食べ尽くしました。

 

薪ストーブ料理を撮る

今回は料理ネタでしたので、薪ストーブ料理の撮影について触れてみましょう。
先月のコラムで「光の読み方」について説明しましたが、料理に関しても同じです。
完成した料理は、窓からの柔らかい光を利用し、
順光よりも斜光や逆光の方が適しています。

それに加え、料理撮影に大切なポイントは、いかに美味しそうに撮るか。
次の写真を見比べて下さい。
先ほどのかぼちゃグラタンを2つの方法で撮ってみました。


【A】炉内から料理を取りだし、ストロボ発光でパチリ。


【B】炉内から料理を取りだし、炎が上がるように細い薪をくべる。
逆光気味で光が差しこみ、背景に薪ストーブが入る位置に料理をセットする。
スプーンで具をひろい上げ、チーズが伸びて湯気が立ち上がった瞬間にパチリ。

同じ料理でも、少し手を加えるだけでこれだけ印象が変わってきます。

 

「料理撮影はシズル感」

料理の撮影で工夫したいのがシズル感です。
シズルというのは英語のSizzleからきた言葉で、
焼いたり揚げた時のシューシューとかジュージューという擬音語です。
写真業界では、温かい・冷たい・みずみずしいなどを表現するときに用いられます。
人間の五感を刺激するような演出が必要になってくるのです。

例えば温かい肉まんをふたつに割ったとき、
湯気があるのとないのとでは全く印象が変わります。
最近ではデジタル処理で湯気を作り出してしまう事もできますが、
かつては室内をグッと冷やして湯気が目立つようにしたり、
スチーマーやドライアイスを使うこともありました。

【B】の写真も、撮影前に窓や扉を開けて
冷気を部屋に取り込んでから撮影しています。
せっかく暖まった部屋なのにそこまでしたくありませんよね。
それでも湯気を写すチャンスがあります。

出来上がったばかりの鍋の蓋を開けた瞬間は必ず湯気が立ち上がります。
また料理をかき混ぜたり、すくったりすると湯気が出やすくなります。
その際、背景が暗い(黒い)ほど湯気は目立ちます。
また、グッと近づいてアップで撮るのも迫力が増します。


特にスープ系や汁物料理は、具が沈んでいるため
そのまま撮影するよりもかき混ぜてやると、
具が浮き出て湯気も目立ちやすくなります。


「早く、食べたいよ~。」
とせがまれそうですが、手早く撮って、美味しくいただきましょう。

最後に
「男子厨房に入り、後片付けまできっちりやるべし。」

 

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コメント

  1. シズル感  この工夫でグッと美味しさ感が伝わるんですね。

    次回のストーブ料理はこれに注意して撮影してみます。

    しかし、プロの撮影は湯気を写すために部屋を寒くしているなんて知りませんでした。

    • クボタさんへ
      いつもコメントありがとうございます。

      ちょっとした工夫で料理の印象は違ってきますが、あまり時間を掛けすぎないように、
      料理が冷めない内に召し上がってくださいね。

  2. うわ~。。。美味しそうですね!

    毎回書かれている撮影ワンポイント、とても参考になります。

    シズル感ってよく聞く言葉だけど、そういう意味とは知りませんでした。

    • momongaさんへ
      先日はお目にかかれて大変光栄でした。
      また、お疲れ様でした。
      今晩、無事に帰ってきました。

      昔、飲食店のメニュー撮影が多く、料理撮影を学んでいるときに最も印象深かったことがシズル感でした。それを表現するのはなかなか難しいですけどね・・・。

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