田渕義雄・薪ストーブエッセイ きみがいなければ生きていけない

信州の山里に暮らす自然派作家がつむぐ薪ストーブをめぐる物語

軽トラックとバードハウス

 

ゴジュウカラが口笛を吹いてる。
フィー、フィー、フィー……。
遠くまで聞こえるリッチなトレモロです。

「♪昨日、ヨシオ君が僕たちの家を掃除してくれたみたいだ。
頬を撫でていく風はまだ冷たいが、陽光の明るさが春を告げてる。
ねえーきみ、さっそく愛の巣を作ろうよ」。
ガールフレンドにそう言ってるんです。

 

 

今朝、ゴジュウカラがお気に入りのマイハウスに入ったり出たりしてた。
小鳥が新しい愛を育む春には、新しい愛の巣を作る。

だから、バードハウスは春先に古い巣を取り除いて、
室内を綺麗に掃除してあげなければならない。

 

 

我が庭には、6軒のそれがある。
その全てを掃除して、雨漏りがしていないかどうかを保守点検するのは、ひと仕事。
でも、そうするんです。
なぜなら、幸せの青い鳥はこの庭に住んでいるからです。

 

 

みなさん、素敵な“バードハウス”を作りましょう。
それを、“巣箱”なんて言わないで下さい。
自分の庭のガーデン・キャビンやガーデン・シェッド(小屋)を新築する気分で、
鳥さんたちの家を作りましょう。

庭の木立に掛けられたバードハウスは、あなたの庭のピアス。
その外壁を素敵な色で塗装するのも一考。
その時には、植物油ベースのエコ塗料をお使い下さい。

 

 

春が深まった頃、麗しい新緑と青葉の季節……
バードハウスの側を歩けば、ご馳走をねだる雛たちのコーラスがこぼれてくる。
人の気配を親鳥のそれと思うんです。
子育て中の小鳥は、1日に200匹もの青虫を巣に運びます。

わたしは、こう思っています。
「わたしたち庶民の庭に素敵なバードハウスが目立つようになるとき、
わたしたちの家も社会も、きっと素敵になっているだろう」と。

 

 

 

憧れの軽トラックが我が家に。
中古ですけど、SUBARU サンバーです。
ポルシェと同じのリアエンジン車。誉れ高き軽トラの名車です。

軽トラックが欲しいと思っていた。
ずっと、ずっと、そう思っていました。
でも、老夫婦二人で3台の車を持つのは、ギルティー(有罪)だと思わざるをえませんでした。
シンプルリビングを標榜している身にしてみれば、それは言行不一致なんです。
「タブチは嘘つきだ」という誹りを免れ得ないでしょ。

タブチ君はずっとステーションワゴンに乗ってます。
運転免許を取った時に買った車は、1400c.c のSUBARUエステートバン。
4ナンバーのライトバンと呼ばれていたそれです。
今から40年昔、5ナンバーのステーションワゴンはほとんど無かったんです。
以来、わたしはずっとSUBARUのステーションワゴンです。

今は、8代目のSUBARUであるレガシーのBスポーツに乗ってます。
FFベースの4WD車であるSUBARUのステーションワゴンはいい車です。
いざというときの貨物の積載容量に優れてんです。
また、「全米で最も事故率の少ない優良車種」として、ホワイトハウスの陸運局が認定してます。

妻はインプレッサに乗ってました。
お気に入りでしたがパワーステアリングを壊してしまった。
妻は半径50km以内のドライバーなので、軽乗用車で十分です。
で、SUBARU のR2を買うことにしました。

 

 

「何が言いたいのか、タブチ?」ですよね。
そう、わたしが言いたいのは、こういうことです。
わたしは、Bスポーツを妻に譲るつもりだ。
妻のR2は軽乗用車の人気車種。
「いつでも買い取ります」。長野スバルの担当者もそう言ってます。

つまり、早晩この家の車はレガシーとサンバーの2台になるということです。
わたしは、いつも軽トラのエンジンをパタパタいわしている村のオッサンになります。
だから、陪審員の皆様には 「ノット・ギルティー」 の判決を。

リアエンジンゆえにサンバーのエンジン音はクワィエット。
でも、リアエンジンゆえにトレーラー・カプラーボールが付かない。
そう、500キロ以上あるエンジン薪割り機を牽引したくて、軽トラを買ったんですから。

どうしよう?
ウェブの検索サイトを覗いてみた。
サンバー用のカプラーボール・システムに辿り着くことができなかった。
悩んで、考えて、考えて、寝床で閃いた……。

それが、今ここにご紹介いたします軽トラ用トレーラー・カプラーボール・システムです。
とくとご覧下さい。

 

木と鉄と……これは19世紀的な美しい道具でしょ。
木工家ゆえに作り得た傑作です。

 

全ての軽トラに有効なアイデアなので、みなさん、どーぞ真似して下さい。
わたしは、実用新案特許の申請はしません。
みんなに役立つ発明は、みんなが自由にそのアイデアを共有してこその発明だと考えるからです。

 

 

軽トラックを運転してみて、わたしは新しい事を知った。

♪Total confusion  disillusion
        New things I’m  knowin

この村に移動してきた頃に好きだったニール・ヤングの懐かしいバラードが口をついて出た。
中古の軽トラ買って、わたしは30年かかってやっと村民になった。
「これでいいのだ……」と、思った。
わたしは馬鹿でした。
軽トラの車窓から見えてくる村の風景は新鮮で、わたし感動しました。

みなさん、幸せの青い鳥はあなたの庭に住んでいます。
みなさん、幸せの自動車は軽トラックにあります。

 

Photoes & Illustration by Yoshio Tabuchi

 



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