フォトエッセイ「写風人の薪焚き日和」

風のように自由気ままに撮り続けたい…カメラマンの視点から綴る日々の薪ストーブライフ

冬を撮る、アンコールを撮る

この画像、写真史上最も高値がつけられたそうです。
いくらだと思います?

 ※PETER LIK ホームページより

なんとその額、650万ドル(7億7千万円)。
驚きです。
アリゾナ州にあるアンテロープキャニオンという渓谷で撮られたモノクロ作品で、
カメラマンはオーストラリア出身のピーター・リク氏。
陽光が差し込む中に砂煙が漂い、
まるで幽霊のような姿から「ファントム」と名付けられたようです。

ピーター・リク氏には遥かに及びませんが、
そんな話を聞くと無性に写真が撮りたくなってきます。
今回は写真について触れてみました。

 

冬を撮る

南信州滞在中は落ち着いて景色を撮る事がないので
数少ない作品の中から抜粋してみました。


これは観光写真でもよくみかける駒ヶ池からみた風景です。
有名なビューポイントは誰が撮っても変わり映えしないので
ネイチャーフォト(自然写真)としては平凡になってしまいます。

駒ヶ根はどこからでも中央・南アルプスが望める絶景の街です。
そのスポット探しも良い作品づくりの条件ですが、
未だに絶好のスポットに巡り会えません。
これは駒ヶ根ベースから歩いて5分ほどの近場です。
日の出前に散歩に出掛け、宝剣岳に陽が差し込み始めた頃です。
立った目線では民家が目立つので、隠れるまでローアングルにしています。
余計な被写体はカメラアングルで消すことも大切です。

4人組バンド「SEKAI NO OWARI」が、
駒ヶ根市の千畳敷で満点の星をバックにジャケット撮影したそうです。

 ※駒ヶ根市役所 facebookページのシェア写真より

駒ヶ根ベースは780mほどの標高で
初めて夜空を見た時は星の多さに感動しました。
特に冬の夜空は大気が澄み、星空が最も美しい季節です。
敷地内から空を見上げて撮影してみました。

カメラを三脚にセットして撮影モードはマニュアル。
絞りはF2.8、露光時間は8秒、感度はISO3200まで上げています。
10カットほど撮影していると、キラッと流れ星が。
一瞬の内ですから願い事なんて出来ないですね・・・。

昨年、敷地内に小川を引き、プライベートサイトを設けました。
雪の降り積もったサイトに、面白そうな被写体はないかと観察していると
せせらぎにうっすらと氷が張っていました。

まったく見落としがちな場面ですが、どこにでも題材はあるものです。


マクロレンズでグッと近づくと、それは不思議な世界。


冷たい水の中でも寒さを感じないほど夢中になり
氷だけで30カット以上撮り続けました。

 

自分を撮る

最近になってアウトドア雑誌から取材依頼が3社ありました。
その内2社は自ら撮影させていただきましたが、
中でも苦労するのが自分撮り。
このコラムでも、私が登場しているのはほとんど自撮りです。


三脚にカメラをセットして、リモコンレシーバーを装着しています。
三脚がない場合は何かに固定し、カメラ内蔵のセルフタイマーを使うこともあります。今回はタイミングの難しい薪割りに挑戦してみました。
薪割りには、高・中・低3種類の薪割り台と、
3本のアックス(大型薪割りウッドチョッパーハンター)を使います。

それでは大型薪割りのシーン。

リモコンで3.5秒のセルフタイマーを使い、
最初は薪割りをしないでシャッターがきれるまでのタイミングを計ります。
そして何度かチャレンジしてモニターでチェックします。
タイミングがずれていたら撮り直しですが、幸いうまく撮れました。

次はハンターで焚き付けづくり。

これも同じ要領です。
樹皮の中で虫食いが激しく、粉が飛び散った様子が撮れました。
薪割り台が3つあると、椅子にもなるので便利ですよ。

次は薪ストーブ前。

これは雑誌取材のために撮った一コマです。
三脚にカメラをセットし、リモコンで撮影しています。
ちょっとヤラセっぽいですが、カメラ目線ばかりではなく
自然な振る舞いを自撮りしてみるのもいいものです。
コンデジでも内蔵のセルフタイマーで十分撮れると思います。

 

薪ストーブを撮る

以前のコラムでも炎を撮るポイントやガラスの映り込みを防ぐ方法を記しました。
今回はもう少し踏み込んでみましょう。

まず露出補正について。

これはオートでそのまま撮影した画像です。
良くもなく悪くもない普通の写真です。
この場合、直射日光が薪ストーブに差し込みクラシックブラックが白く飛んでいます。
また構図も中途半端です。
写真が白くなったり暗くなった時にはカメラ内蔵の露出補正を使います。


黒いモノを黒く撮るには、露出補正をマイナスにします。
補正値をー1.5にすることによってこれだけイメージが変わります。
薪ストーブは黒くなり、肉眼ではみえる背景も極端に黒く沈みました。
これが写真マジックです。
思い切ってドアを半分にすることで、大胆な構図になりました。

露出補正はコンデジでも装備されている機能です。
スマホ(iPhone)の場合は、AE/AFロックを使います。
AEは露出、AFはピント、これらをロックできる機能です。

露出を固定したい(ピントも同時に固定)部分を長押しすると
画面のようなロック表示がでます。
好みの構図を決めてシャッターボタンを押します。
多少コツがあるので何度もトライしてみて下さい。
アップルフリークなので他のスマホは分かりません・・・。

次に薪2本で炎をいっぱい燃え上がらせる方法です。

まず十分な熾きがあるときに、まんべんなく広げます。


太めの薪を奥に置き


手前に少し小さめの薪を置きます。

フロントドアを閉め、エアーを全開にします。
暫くすると、前・真ん中・後ろから火が上がり迫力の炎です。

ズームレンズの広角側で近づいて撮影してみました。
この状態を長く続けるとストーブによくないので
徐々にエアーを絞っていきます。


次はズームレンズの望遠側で、少し後ろにさがって撮影しています。
ふたつの写真を見比べると、アンコールの大きさは変わりませんが
写真の印象はガラリと変わります。
広角は広い範囲が入り、望遠は遠い所が大きくなる…だけではありません。
被写体を画面上で同じ大きさに撮った場合
背景の雰囲気がまるで違ってくるので、ズームレンズもそんな使い方ができます。

また薪ストーブの撮影は正面ばかりになりがちですが
アングルを変えてみるのも面白いです。

カメラを炉台に置いてローアングルで撮影してみました。
普段肉眼では見ない角度です。

先ほど薪をくべる前に熾きを広げる場面ですが
ストーブトップからも撮ってみました。

ファイヤーバードで熾きを潰している瞬間です。
シャッタースピード1/30秒、多少のブレも動きを感じさせます。


熾きと火花の迫力シーンは望遠気味にして画面いっぱいに。
(熱いのであまり近づき過ぎないように・・・)
薪ストーブも炎だけが被写体ではありませんね。

最後に就寝前のことです。
薪をくべにいくと、真っ暗な部屋で青白く炎が輝いていました。

木炭になる前に僅かに残った可燃性ガスが燃えている状態です。
肉眼では青くみえても、写真に撮ると青く写らない時があります。
それはカメラのホワイトバランスがオートになっている影響です。
また部屋の照明が電球色の場合、写真全体が赤くなってしまうのもそれが原因です。
解決方法はホワイトバランスを電球マークにするか
色温度値を2800程度に設定すれば肉眼に近い状態の色になると思います。

薪ストーブシーズンもまだまだ楽しめそうです。
冬景色や自分撮り、薪ストーブのベストショットもトライしてみて下さい。

 
(隔月連載。次回の更新は4月上旬です)

 



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コメント

  1. 社風人さん、おはようございます。 (早過ぎですね)
    ピーターリック氏を初めて知り、作品を拝見しましたがどれも美しく、感動しましたが650万ドルとはすごいですね。

    今、写真はiPhoneメインなのにそのような機能に
    気がつきませんでした。(^^;)

    また、薪割りの自撮りと薪ストーブ撮影にもチャレンジしてみます。

    いろいろ教えて頂き、ありがとうございました。

    • hearthさん、おはようございます。
      ピーター・リク氏の作品は、本当にどれも素晴らしいです。積み重ねた実績がないと、あのような値はつかないのでしょうね。
      私も常に素晴らしい作品を鑑賞するように心掛け、刺激にしています。
      残り少ない冬を楽しみながら、色々撮影してみて下さい。
      コメントありがとうございました。

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