すずきみちよ 薪ストーブでおうちごはん

アウトドア料理コーディネーター鈴木道代によるシンプルな素材が生きる「おうちごはん」レシピ

肉骨茶(バクテー)スペアリブの煮込みスープ

香港からテレビの取材チームがやってきました。
香港電台という公共放送です。
オフグリッドソーラー自家発電の取り組みがメインテーマ。
日本で2週間以上かけて何ヶ所も撮影していくそうです。
我が家へは「藤野電力」の取材で3日間。
震災後にコミュニティの力で立ち上がった自家発電グループです。
近所でソーラー施工したお家訪問やミーティング風景、ミニ太陽光発電のワークショップと盛りだくさん。

そして旅人として日本を回るのが“野人”さん。
香港郊外で小さなお子さんと奥さんと自給自足的生活をしている好青年。
地球にやさしい暮らしについてのワークショップなど開いているそうです。
とにかく香港にそんな自然豊かなところがあるなんて知らなくて驚きました。
あの摩天楼の大都市・香港でもキャンプやエコ暮らしの人気が高まっているのだとか。
考えてみればあんなキラキラした都会に働いていたらリフレッシュに自然を求めたくなるのは当然のことだと思います。

野人さんはなるべく自分の手で作り出す暮らしを心がけているけれども電気のことだけはよくわからなくて、自宅に自家発電を取り入れるため日本のオフグリッド事情を学びに来たそうです。
そんな彼なのに、我が家で一番興味を引いていたのは薪ストーブ。
ソーラーの撮影なのに運悪く雨続きで寒い日だったので、人をホッとさせるその暖かさに惹かれたようです。

彼らはなるべく庭のカマドで料理をしているそうですが、家の中で火が焚けるという古くて新しいことに感銘していました。
香港ではキャンプでも焚き火をすることはほとんどなくてガスが主流だそうです。
気候が温暖なので暖房としてというよりは、自分で準備できる薪エネルギーでお湯が沸いて料理ができて、家も温まるというエコなシステムとしておもしろいと思っているようでした。
薪ストーブと自家発電があったら自由をまたひとつ手に入れたことになるでしょうね。
ファイヤーサイドのカタログを熱心に見ていたので、最後に差し上げたらとても喜んでくれましたよ。

香港。また行ってみたい場所が一つ増えました。
テレビクルーもよく勉強していてインタビューも的確。
仕事熱心で何より楽しそうにしている。
おまけにオシャレさんでみんな優しい。
日本に住んでいると日本が一番アジアで進んでいると錯覚してしまいますが井の中の蛙とはこのことですね。
勇気を出して殻を飛び出して実際に目で見て対話して自分で感じることが大切と思い知りました。

 

朝ごはんの定番、肉骨茶

春休みにもシンガポールに行ってきたし最近アジアづいている我が家です。
そんなアジアつながりで作ってみたのが、シンガポールでの朝ごはんの定番、肉骨茶(バクテー)です。
最初その名前のインパクトにギョッとして引き気味。
こんな肉たっぷりのものを朝から食べられるのだろうか。
でも先日チャレンジして食べてきました肉骨茶。

こしょうと塩のきいたスープが意外とあっさりで、お肉も全く油っぽくなくさっぱりとしています。
スープをご飯にかけていくらでも食べられそう。
実際お店のお姉さんが何度もスープのお代わりを注いでくれます。
家でも再現したくて肉骨茶の素を買ってきてありました。
スパイスはそんなに強くないので、一から作る場合も少々のシナモンとクローブ、あればこしょうの粒を入れるといいと思います。

使用ストーブ » バーモントキャスティングス  アンコール

 

肉骨茶(バクテー)スペアリブの煮込みスープ

材料

  • スペアリブ …500g
  • 肉骨茶の素(シナモン、クローブ、こしょう粒、八角など) 
  • にんにく …6片
  • 水 …1500cc
  • 酒 …適量
  • 醤油 …大さじ2
  • オイスターソース …大さじ1
  • 塩…しっかりと
  • 黒コショウ …たっぷり
  • ジャスミンライスごはん
  • チリソースなど …お好みで

作り方

1.ストーブトップのダッチオーブンでお湯が沸いたら、スペアリブ、にんにく丸ごと、肉骨茶の素を入れて煮る。

2.30分ほどしたら酒、醤油、オイスターソース、塩を加えて、肉が柔らかくなるまで弱火で煮込む。

脇では近所の朝市・ビオ市で買った細長いお米ジャスミンライスも炊いています。

3.お肉がホロっと骨から外れるほど柔らかく煮込んだら塩とたっぷりの黒こしょうで味を整えて完成。水を足しながら弱火で1時間半ほどでしょうか。ダッチオーブンのおかげか臭みもアクもありません。
スープの色が濃いのは市販のミックススパイスの色のようです。

4.シンガポールのお店ではレッドチリが添えてありました。
家にあった豆板醤とキムチでお好みの辛さに調節して。
体に沁みる滋味あふれるスープ。
パラリとした長粒種のジャスミンライスとよく合います。
うちは夕ご飯としてたっぷりお代わりしていただきました。

 
世界の人が同じように持続可能な暮らしのことを考えているって知っているようで知りませんでした。特に他のアジアの人たちがこんなにも。
気がついた人から何かを始めている。
自分のできることを楽しみながら。
人が認め合ってつながるってすごいことだね。
心の底から勇気が湧いてきます。
世界中がそんな勇気を持てればいろんなことがぐっと前に進めそうな予感がしています。
 

 Photoes by Michiyo Suzuki
*隔月連載。次回の更新は2018年7月中旬です。

 

  • ページの先頭へ

薪ストーブエッセイ・森からの便り 新着案内