ポールキャスナー 薪ストーブのある生活

日本における草分け的存在が贈るカントリーライフの提案。薪ストーブにまつわる様々なストーリーをお届けします。

斧など刃物の手入れ

暑い夏の日に薪の事は普通考えないけれど、薪ストーブの季節が忘れた頃に来ます。
なので、この時季は薪作り道具の手入れをしておく時だと思っています。

斧の刃は鋭くないとうまく切れません。
鋭くなければ木の繊維を断ち切れずに止まってしまいます。
ハンドルや革ケースに油性ワックスを塗らないと乾燥してしまい、ヒビが入ったりします。湿気の多いところに保管するとカビも発生することがあります。
研いである斧の刃を使うと楽に気持ちよく薪が割れます。
大切な斧をお手入れすることは大変満足な気持ちになります。
使いこなした斧には美しいパティナや艶が出て、愛用の斧がかっこよくなってきます。

目立て

鈍い道具は調子よく機能しません。
包丁でも斧でも同じことが言えます。
定期的に研ぐ習慣を持てば研ぐ時間が割と早い。
逆に研がないまま使い続けると研ぐ時間がかなりかかります。
なので使用前または使用後に軽く研ぐ習慣をつければ、
いつも道具が最高の状態で使用できます。

斧の種類によりますが「カミソリ」ほどまで刃を付ける必要はない。
薪割り斧ならば薪を切るのではなく、差し入れる感じです。
手斧の場合、ナイフのような使い方や枝を切断するので、鋭い方が好ましい。
使用中も切れ味が悪くなったら刃を研ぎましょう。


使い込んだ斧の手入れ前!かわいそうに見える。
愛を込めて綺麗にしてあげよう!

刃の研ぎ方

必要な道具
鉄製の中目のファイルシャープナー:刃こぼれや形状を変形をさせるため
ディスクストーン(砥石):中目 形状を整えるため 細目 仕上げ用
ダイヤモンドシャープナー:刃の仕上げ用
マジックペン:磨き具合を確認するため

刃こぼれの修正


石や硬い木の節に当たることで「刃こぼれ」が起きる。
これを修正するときは鉄製の中目のファイルシャープナーを使います。
電気のグラインダーなどを使うと刃に高い熱が加えられ、焼きが取れてしまいます。
時間をかけて手作業をやりましょう。
完全に欠けを綺麗に取れなくても十分切れ味が出ます。
この時間を「刃研ぎ瞑想」にしたらいかがでしょうか?

中目のファイルシャープナー

中目のファイルシャープナーの目を拡大した写真。
片方向(押す方向)しか切れません。刃こぼれの時に使用する。

グレンスフォシュのファイルシャープナーダイヤモンドシャープナーの柄部分を斧頭に当てると自動的に正しい角度を保ってくれます。

 

刃の仕上げ

刃こぼれが中目のファイルシャープナーで綺麗にとれたら、仕上げ作業に入ります。
ディスクストーンやシャープナーを使い慣れるまで、刃にマークペンで印をつければ、どの部分が削れているかすぐ見えます。なるべく均等に研ぎましょう。

ディスクストーン(砥石)

ディスクストーン:粒度の異なる円盤状の伝統的な斧用砥石。

ソフトな天然ゴム製のケースは、作業しやすいホルダーも兼ねています。
    
少なくとも10分は水に浸けておきます。
円を描くようにディスクストーンを回転させながら斧刃を磨きます。
刃の角度に合わせて行います。
粗い面▲▲▲で研いだあと細かい面●●●●で整えます。
中目のファイルシャープナーを使った場合、細かいスジ傷が表面に残ります。
これがなくなるまで粗い面▲▲▲で研ぎます。
20〜30回ほど回転します。
磨いた面にだんだんと艶が出てきます。
次に細かい面で同じく20〜30回、回転しながら磨き上げます。
石を指先で持って行います。
指が石の先に出ますと刃に当たって怪我することもありますのでご注意しましょう。

ダイヤモンドシャープナーで仕上げます。
 
仕上げはダイヤモンドシャープナーで行います。
これも荒い面と細かい仕上げ用の面があります。
頑張ればヒゲを剃るまで鋭くできますが、薪作りにはそこまでは必要ありません。
どの面が荒い・細かいか見るには指の爪で擦ればすぐわかります。
荒い方に爪が引っかかる感じがします。

ダイヤモンドシャープナー ダイヤ粒を固定。
密着度・研削度・耐磨耗度等の性能アップ。

中目のファイルシャープナーと違って、片方向だけに動かす必要はありません。
軽く当てる程度で十分な研削ができます。

 

斧の鉄製頭の手入れ


斧の頭は木のヤニやシブで汚れます。また湿気によりサビも出ます。
しばらく斧を使わない時にワックスなどを塗っておくと保護されます。


写風人さんが教えてくれたヤニやシブがよく落ちる刃物クリーナーです。


斧の鉄部分につけて


1分前後そのまま待ちます。


布で拭き取ります。落ちない場合繰り返します。


サビ防止のため斧頭もミンクオイルで磨いています。

 

木製ハンドルの手入れ

斧のメーカーによりますが、グレンスフォシュ・ブルークの場合、斧のハンドルは亜麻仁油で仕上げています。なので亜麻仁油をお勧めします。
亜麻仁油は乾いた後もベタベタもしないし、日本の湿度の高い季節にも黴びません。
他の植物油が悪いとは言えませんが、乾いた後ベタベタ残ることがあるし、カビも出ることがあります。酸化された油のアクの臭いもつくことがあります。
大豆油、菜種油などは適していないと思います。
塗装仕上げやラッカー仕上げのハンドルにはミンクオイルは適していません。
同色のペイントやラッカーを手に入れて部分的に補修すればいいでしょう。
塗料を紙やすりなどで落として、亜麻仁油で仕上げることもできます。


市販の亜麻仁油。伸びがいいので少しで十分でしょう。

   

 

革ケースの手入れ

革製のケースが乾燥したり汚れてきます。
それを防ぐために私はMINK OIL(ミンクオイル)を使用しています。
靴墨でも構いませんが、ミンクオイルが革製品に最高と言われています。
防水になるし、美しいツヤもできます。
オリジナルの色から変色しますので、承知のうえ使用してください。
ウエスなどの柔らかい布で汚れを落としながらミンクオイルを塗る。
その後乾いた柔らかい布で乾拭きして仕上げます。


市販のミンクオイル。斧の革ケースに最適です。
靴墨も使用できますが、色の変色があるので、無色を使えば良いと思います。
もちろん革靴にも使えます!笑!


ウエスなどの柔らかい布にミンクオイルをつけて、伸ばしながら磨きます。


ビフォアー


アフター


動画で見てみましょう!


斧のお手入れは大切です。
大切な斧を綺麗にすると非常に気持ちがいい!
皆さんも斧を大切にしましょう。


ポールの斧コレクションの一部

 

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