ポールキャスナー 薪ストーブのある生活

日本における草分け的存在が贈るカントリーライフの提案。薪ストーブにまつわる様々なストーリーをお届けします。

自分でエネルギーを作る;自立の生活

3月11日に発生した東日本大震災および長野県北部地震で被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。
甚大な被害を被った地域が一日も早い復興を遂げ、
悲しい思いをされた皆さまが一刻も早く元気を取り戻されますよう、切にお祈り申し上げます。

東北の多くの地方ではこの震災の影響で、停電、
そして燃料の供給が不安定になる事態が続いています。
地震の影響で家が壊れていなくても、電気やガスが使えなくて、
暖房もお料理もできない家庭が少なくないことは事実です。

薪ストーブのある家は暖房もお料理も問題なくできて助かっています。
ストーブユーザーからは、
「アンコールの本当の良さが今回のことでよくわかった」という声もあります。
(今回のような大きな地震のあとには必ずストーブ、煙突の点検をしてください  » 地震時の注意事項

薪小屋に薪のストックさえあれば
何があっても燃料の供給の問題に対して影響は少なくて済みます。
この春に来年の冬用の薪を切って割って積んでおくことは何より安心ではないか。

本格的に薪ストーブライフをしない方でも、薪ストーブがあれば万一の時に助けになると思います。
薪ストーブの有る無しにより全く違う。

 

 

エネルギーの話

電力会社のキーワード、「オール電化」は昔からおかしいと思っていました。
絶対に停電しない保証がないにも関わらず、
すべてのエネルギーのライフラインを1つのエネルギーにしぼることは危険です。

近代生活ではこんなに電気を消費してもいいのか?と思います。
私たちが暮らす上でどれぐらいの電気が適切かは判断がつきませんが、
停電があると普通に生活ができなくなることは事実です。
日本の将来の生活の姿は、今よりも電気の少ない暮らし方になるのではないでしょうか?

 

 

エネルギーとしての薪

森林国の日本は薪炭エネルギーが似合う国。
昔の知恵を掘り返し、暖房、お料理、お風呂を薪と炭で考えましょう。
薪は山の整備、町の道路や公園の整備、木製材所の端材、また廃材から作れます。


薪をストックするには風通しの良い雨が当たらない小屋が最適です。
地域によりますが、少なくとも6ヶ月から1、2年は乾燥させましょう。

 

 

太陽光発電

日照時間の多い日本に、太陽電池やソーラー湯沸かし器は適切です。
私の家では両方使っています。
ソーラーを有効に使用すれば、他の暖房費の節約ができます。

ファイヤーサイドの倉庫の屋根の太陽電池


自宅のソーラー熱湯機


自宅の太陽電池。
ソーラー熱湯機になってからこのタンクの灯油はほんとんど消費しなくなった。

 

 

ロウソクやランタン

ロウソクやランタンはとてもいい光です。私は昔から使用しています。
部屋に誰もいないのに、電気の付けっぱなしが多くありませんか?
ロウソクやランタンは明るいだけではなく、暖かい雰囲気のある光です。

ロウソクの光は電球に比べて暗いが、目が慣れれば驚くほど明るいです。
また数を多く使えばかなり明るいものです。


ティライトのろうそく豆ランプです。
本を読むほど明るくないが、玄関、廊下、トイレなどに置けば電球は要りません。


日本の昔からある蝋燭立てです。
この蝋燭立ては飛騨高山の鍛冶屋さんが作り続けています。
手持ちにしても、どんな角度でも傾きません。
卓上に置けるし、、、


壁掛けにも使えます。

 

 

オイルランプ

ロウソクより火が長持ちするのがオイルランプです。
タンクにランプオイルや灯油を満タンにすれば数日もちます。

明るさは芯の大きさによって違います。
ランプの専門の方の話では、
2分芯は電球約4W相当、5分芯は電球約8W相当、7分芯は電球約15W相当だそうです。
15Wならば本を読むことができる明るさです。
芯は平タイプと円形タイプがあります。平タイプの方が明るい。

巻き芯というものは平タイプを筒状にしたものです。
しかし平タイプを巻き芯にすると明るさが半分になるそうです。
巻き芯の方が燃費が悪いけれど安定した炎と微調整ができるのが特徴です。


左のランプは平タイプの芯で、本でも十分に読める明るさ。
右のランプはだるまストーブの形で可愛い。


巻き芯のランプはホヤが細くできます。
 

ランプには卓上スタンドタイプ、壁掛けタイプとハンギングタイプがあります。
100年前の時代は美しい工芸品のオイルランプが一般的だった。
ハリケーンランタンは風が吹いても消えない設計で、野外使いにも適しています。


( ハリケーンランタン )

オイルランプはロウソクよりも明るくて、火が長持ちします。
是非電気の代わりにいかがでしょうか?
 

 

オイルランプの点火と調整の仕方


新しい芯をハサミで揃えます。
 

点火

1.  ランプオイルをタンクに入れて芯にオイルを十分に染み込ませてから点火します。
2.  芯を長めに出して点火し、火が小さくなる位置まで芯を下げます。
3.  すぐにホヤを設置します。


明るさを調節します。煤が出ると芯は出し過ぎなので下げます。
燃料がなくなってしまうと芯に焦げがつきます。燃料がなくなる前に補充します。

 

消火

1.  息で吹き消す。
2.  消してからしばらくホヤが熱いので手で触らないように。
3.  再点火する時はホヤが完全に冷えてから行います。

 

手入れ

○新しい芯の時や、芯に焦げが付くと燃えにくくなることがあるので、ハサミやピンセットで芯を揃えます。
○芯がぼろぼろになった時にもハサミで整えてください。
ロウソクの芯もハサミで調整することもあります。
○普段使わない場合は、必ず燃料を抜いて、ホヤが壊れないように箱に入れて保管します。

 

注意

※※ロウソクやランタンは火を使用しますので注意が必要です※※
○木製のテーブルなどの上で使用する場合、メーカーの説明書に従ってください。
○手作りのランプやロウソクを使用する時は、必ず不燃性のお皿などの上に置いてください。
○風などが当たっても倒れないようにご注意ください。
○外出やその部屋から長く離れる時は消火しましょう。
○火傷に注意してください。
○オイルランプの燃料は灯油やランプオイルです。  
!!コールマン社などのポンプ式のキャンプランプで使うホワイトガソリン等の燃料を絶対に使わないでください!!


 

植物油のランプ

古代エジプト、ギリシャ、ローマでは、陶器や真鍮のオイルランプを使用していました。


左から;2400年前の古代エジプトの石の蛙ランプ、ギリシャ、芯が2本あるのローマのもの。


(左)ギリシャの6本芯の吊り下げ式
(右)2400年前のローマのランプ。月と星は明かりの神様「ルナ」の模様だそうです。


アラジンのランプは植物油のランプです。
これは真鍮製のペルシア(イラン)のものですね。ジーニーが出るのかな!


古代式のオイルランプを小型の鉄瓶で作ってみました。
芯は薪ストーブ用のグラスファイバーローブ。燃料はオリーブオイルだけです。
いかがでしょうか?

 

 ◆

 

エジソン博士のおかげで近代生活ができますが、その発明以来、
人間は24時間活動ができるため体内時計が狂い、寝不足の人は少なくないでしょう。
数千年前から、日が落ちてからの数時間はロウソクやランタンの光で過ごし、
暖炉や囲炉裏で食事を作ったり、暖まったりして暮らしていました。
私も早く寝るサイクルに戻りたいなぁと思います。(私も寝不足していますよ)

さて、手作りで植物油のランタンを作ってみました。
皆さんも是非少しでもナチュラルな光を日常生活に取り入れてみませんか?

 

 

簡単な植物油ランタンの作り方

 

材料
  • 口の広い浅いガラス瓶
  • 薪ストーブ用のグラスファイバーロープまたは綿のロープ …30~40cm
  • 鉄や銅の柔らかい針金 …30~40cm(瓶の大きさに合わせる)
  • (ステンレスの針金を使う場合は、固いのでなるべく細いものがいいでしょう)
  • 植物油;オリーブオイル、キャノーラオイル
  • はさみ
  • ペンチとワイヤーカッター
  • ピンセット

 

手順

 
1.針金を釘に巻く。ベースが安定するよう丸く巻く。
2.瓶底部分の曲線を作ってからハンドル部分を長めに作る。(手を火傷しないため)
3.ロープをセットする。
4.芯の底まで油を入れます。植物性の油は芯に昇りにくいので、芯のすぐまで入れます。
油が芯の底より低くなったら小石などを入れることで油の表面の高さを調整できます。

※芯を出したり整えたりするのにピンセットがあると便利です。

植物油の中でも燃えるものと燃えないものがありますが、
一番適している植物油はオリーブまたはキャノーラオイルです。
他の種類の植物油は芯に昇りにくいので、
油源に近い位置に芯をセットするとうまくできます。

 
 

最後に

これから日本の電気生活が見直されるのではないでしょうか?
オール電化のための原発は欲しくないと思っています。

停電のため電気のない生活は続いていますが、電気が間に合うようになっても
少しでもランプの暮らしの知恵を持っていた方がいいと思っています。

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コメント

  1. ポールさんこんばんは!いつもカーボーイハットを被ってお目にかかる倉科です。いつもお世話になります。私も今回の震災で、我が家も我が家のアンコールの有り難さが良く解りました。素晴らしい薪ストーブを日本に紹介して頂き本当に有難う御座います!

  2. 倉科さん、
    こんばんは、こちらこそありがとうございます。
    エネルギーの消費のことは大切ですね。
    よろしくお願いします。

  3. ポールさん再びこんばんは。私もランプコレクターで、新しい物を中心に、何台か所有しています。ランプによる灯りの生活って、素晴らしいですよね!

  4. ポールさん こんにちは。
    我が家も今回の停電では、キャンプ用のランタンや趣味で集めているケロシンランプやキャンドルランプが活躍しています。こんな風に役に立つとは思いもいたしませんでしたが・・。我が家ではランプをつけると、子供は絵本を持ち出し、大人は読みかけの文庫本を自然に読み始めるのが、不思議です。(転倒には要注意ですけどネ)

  5. 井上コージさん、
    子供たちがランプにいいものですね。
    停電の時いろいろなランタンは助かります。キャンプのランタンは100Wでまぶしいぐらいのものですね。
    キャンドルやオイルランプはもっとやさしい光ですね。
    私はキャンプランタンは仕事するときだけに使っています。

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