エッセイ集 薪ストーブの里から

宮崎学 フォトエッセイ 森の動物日記

森と里と野生動物たちから教わった自然のメッセージ 信州・駒ヶ根在住の動物写真家宮崎学のフォトエッセイです

白いタヌキに再会

2012/1/29 miyazaki | カテゴリー: タヌキ | comments(5) »

数日前の夜7時半ころでした。
中央アルプス山麓に設置してある無人撮影ロボットカメラの点検をしようと、林道に車を乗り入れたときでした。
ヘッドライトのなかに白いタヌキが現れて、林道を下ってくるところに出会いました。
タヌキは、ボクの車に驚き一瞬できびすを返して、お尻を向けて全速力で歩いてきた道を逃げていきました。
ボクは、車のアクセルを踏み、そのタヌキを少しでも観察しようとしましたが、タヌキは50mほど走ったところで道をそれて藪のなかに消えていきました。


全力で走るタヌキの後ろ姿は、お尻を左右に小刻みに振ってぽんぽんぽんと弾むようにいきますから動きは独特です。
そのタヌキは、たったの一頭だけで林道を歩いていましたが、実に30年ぶりの白いタヌキとの出会いにボクは嬉しくなりました。


それというのも、いまから30年前、中央アルプス山麓の同じ場所に白いタヌキがたくさんいた時期がありました。
どうも4平方キロほどの範囲に、20頭以上はいたのではないかと思われました。
ときには、真っ白いタヌキだけが3頭も並んで歩く姿にも出会いました。
当時白いタヌキはいたるところで目撃でき、それはこれまでになかった現象でした。



白いタヌキは、突然変異で生まれてくるアルピノです。
色素をなくして誕生してきた白化現象の特異なタヌキだったのでした。
両親が必ずしも白くなくても、普通のタヌキのなかに白化する遺伝子があると、数代のうちには誕生してくることがあるのです。
その白いタヌキが一箇所に20頭以上も高密度で生息しているということは、この地域に白化する遺伝子が多く潜在していたことを物語っていました。
白いタヌキですから、とうぜん多くの人たちにも目撃されることになり、するとウワサとなって、珍しさも加わり、かなり捕獲されて、剥製になったりしてしまいました。
そしてその後、3年ほどで白いタヌキはこの地域からすべて消えてしまったのです。


(Photo:30年前に撮影した白いタヌキ。この写真以外は10年前の南信地方での写真です)

そのような歴史を見ていたボクは、遺伝子さえ他のタヌキたちに受け継がれていればそのうちに必ず復活してくるだろうと思いました。
そのときがくるのは20年後か30年後か…、それとももっと時間がかかってからなのかと、ひそかに期待して待っていたのです。
その期待を裏付けるような出会いが、先日こうしてあったのです。


このように、偶然にしても白いタヌキと出会えたということは、すでに確実に白いタヌキが存在しているということです。
ということは、この一頭だけとは限らないのかもしれません。
丁寧に調査をしていけば、まだまだ白いタヌキは見つかってくると思います。
そして、2~3年もすれば、もっともっと爆発的に白いタヌキが現れてくるのではないでしょうか。
その前ぶれとなる出会いをこうしてボクがしたのですから、30年前の再来が必ずあると信じています。


もっとも、10年ほど前の話ですが、直線で50kmほど離れた南信地方の地域でも白いタヌキの情報があり、ボクは写真を撮ったことがありました。
それが、数年間で少しずつ北上してきていることは分かっていたのですが、ここへ来てのこのたびの出現ですから、白いタヌキの遺伝子は30年くらいかけて少しずつ移動していっているのではないかと思います。
なので、これから5年間くらいの間に、中央アルプス山麓では白いタヌキがたくさん出現する可能性があります。
今から、そのときをワクワクして待っているのです。


(Photo:10年ほど前。南信地方のとある山麓公園。タヌキはこのような場所で昼間から遊んでいました)


(Photo:左端が母親で、6頭兄弟がうまれてそのうちの2頭が白いタヌキでした)


(Photo:白いからといって弱いわけではなく、とても元気に走り回っていました)


(Photo:母親は、白タヌキが可愛らしいのかさかんに舐めて愛情を示していました)


(Photo:このような普通のタヌキにも、白い遺伝子がどこかに入っているのかもしれません)


(Photo:白い兄弟タヌキも、とても仲がよかったです)

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