エッセイ集 薪ストーブの里から

宮崎学 フォトエッセイ 森の動物日記

森と里と野生動物たちから教わった自然のメッセージ 信州・駒ヶ根在住の動物写真家宮崎学のフォトエッセイです

在日ハクビシンは快進撃中

2011/2/28 miyazaki | カテゴリー: ハクビシン | comments(8) »

 
(Photo:柿の木に登っているハクビシン)


(Photo:リンゴを盗みにきたハクビシン)

 リンゴジュースにしかならない規格外のリンゴを農家からたくさんいただきました。家に着いたのが夜だったので、荷物のリンゴはコンテナごと車庫に置いておきました。
朝起きてみると、なにやらリンゴが誰かに齧られた跡があります。こんなことをするのは、テンかハクビシンしかいません。
正体を確かめようと、さっそくコンテナに向けて自動撮影ロボットカメラを設置してみました。翌日になって、カメラを確認してみると、2枚だけシャッターが切れて、ハクビシンの姿が写っていました。

やっぱり、ハクビシンがリンゴを盗みにきていたのです。それも、リンゴを置いたその晩から来たのですから、なかなかに不敵なやつです。
こんなハクビシンを見てしまうと、もはや野生動物とは思えないくらいです。家の車庫という状況下なのに、警戒することなく平気でリンゴを盗みにやってくる度胸がまるで家畜のように思えたのです。

ハクビシンは昔から日本に生息していたという説と、江戸時代には毛皮目的で移入していたのではないかという説があります。さらには、第二次世界大戦中に毛皮需要が高まり、台湾などから数多く持ち込まれ産業が奨励されたともいわれています。
そのハクビシンが、戦争も終わり毛皮の需要もなくなって、放逐されたものが繁殖して大量に野生化してしまったとも考えられます。
現在では、四国から本州の東北地方にまで分布域を広めているようです。
長野県でも、ボクの知るかぎりでは1960年代に伊那谷地方に細々と確認されましたが、そのご爆発的に増加して、今では全県下にまんべんなく多数のハクビシンが生息するようになりました。

日本には昔からキツネやタヌキ、イノシシなどがいましたが、彼らは木登りはしません。
でもハクビシンはどんな木にも登っていってしまいます。日本の自然界にいた動物が入り込めない隙間に、うまく入りこんで爆発的に増えていったことがうかがえます。
とくに、長野県はリンゴやナシ、ブドウやモモなど果樹栽培も盛んですからハクビシンにとっては餌もたくさんあって激増につながった可能性があります。
こうして、数が多くなればハクビシンもどこにでも出現するようになり、ボクの家の車庫にまで現れたのでしょう。まったくもってどこに潜んでいるのか分からない動物ですが、近年では市街地から山野までかなり広範囲に生息していることはたしかです。


(Photo:ハクビシンは「白鼻芯」という字の通り鼻筋が白いです)

まだまだ、謎の多いハクビシンですが、ボクの家のまわりにも普通に生息していることがわかったのでいろんな実験をしてみました。
リンゴが好きなので、そのリンゴをの垂直に立てた鉄パイプの上に置き、ハクビシンがどのようにして盗みにくるのか観察してみました。垂直の鉄パイプだから、どんなに木登りが上手くても、手足が滑って登れないだろうと思ったのです。


(Photo:鉄パイプもカンタンに上り下り)


ところがどうして、ハクビシンは垂直の鉄パイプでもすいすいと上り下りをしてしまったのです。
足の裏の構造がほんとうに木登りに適しているのだなぁーと感心すると同時に、それでは鉄パイプにグリスを塗ってみたらどうするだろうかと思い実験してみました。すると、ハクビシンはさすがに滑るらしく一回で懲りたそうで、その後は二度とリンゴを盗みにきませんでした。
こうして、ハクビシンの盲点を見つけたのでナシ農家に教えてあげたら、ガムテープを粘着面が表に出るように木の幹にぐるぐる巻きにしました。すると、ハクビシンもいやがり、ナシの被害もなくなったそうです。
どうやら、ハクビシンは木登りをする足の裏をとても大切にしているから、ねばねばの粘着質が着くことを嫌がることが、この実験でわかりました。
これは、野生動物をいじめているわけではありませんが、このような実験をしていけば、ハクビシンの食害に悩んでいる農家の方にも何かヒントになるのではないでしょうか。


(Photo:足の裏は、固い角質がスパイクのようになっていた)


(Photo:グリスを塗ったら降参した(左は塗った直後で、右は滑った跡)


(Photo:ナシの木の幹にガムテープを貼ったら、ハクビシンは退散した)


(Photo:ハクビシン対策でモロコシを囲ったけれども、こんなのはカンタンに登ってしまうだろう)


(Photo:リンゴを食べるハクビシン)

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