宮崎学「森の動物日記」

森と里と野生動物たちから教わった自然のメッセージ 信州・駒ヶ根在住の動物写真家宮崎学のフォトエッセイです

信州の池にやってきたカイツブリ

カイツブリという鳩くらいの水鳥がいます。
潜水が得意で水中に潜っていっては小魚などを捕まえて生活しています。
このため、魚が生息している池でないと子育てができません。
カモの多い池で、カモたちに混ざって泳いでいると、一回り小さくて地味なので、カモよりも観察する人が少ないようですが、水中で餌をとる技術はすばしっこくてなかなか面白い水鳥です。


(Photo:スマートなカイツブリの姿)

実は、このカイツブリは、ボクが子供の頃には信州南部の高原地帯ではまったく見られませんでした。
なので、野鳥の図鑑などを広げては、どこかにいたらいいのになぁーとあこがれていました。
ところが20年くらい前から、いろんなため池で普通に見られるようになってきました。
この変化はいったいどこにあるのだろうかと不思議に思っていましたが、ともかくあこがれていたカイツブリがため池で繁殖するようになったことはうれしいことです。


(Photo:カイツブリの巣と卵)

ため池は農業用水を貯めておくための池で、干ばつのときなどに下流の田んぼへ水を送るために利用します。

そんな池の湖面にカイツブリは枯れた濡れ草などを集めて、水面に巣を浮かせてつくり、卵を産んで子育てをします。


(Photo:抱卵中のカイツブリ)

そう言えばボクらが子供のころは、ため池といえば「小鮒」や「モロコ」を釣ったり、泳いだりする遊び場でした。
カイツブリの餌である小魚を子供たちが釣り上げてしまうし、池でバシャバシャと日がな遊ばれては、カイツブリだってそんな場所は敬遠もしたにちがいありません。
それが、今日では、ため池で「釣り」をするような人は滅多にいません。
子ども達だけで池で遊べば、危険だと怒られてしまう時代です。
池には小魚がたくさんいるし、何よりも人々の関心もなくなったから、カイツブリにとってはとても棲みやすい環境になったのでしょう。
なので、こうして信州の高原にもカイツブリが増えてきたのではないのか、とボクはそう思うようになりました。

(Photo:夫婦で巣づくり準備中)

そしてカイツブリは、冬は日本列島の南の暖かい地域に移動していくので、春から夏、秋にかけてもっとも気候のいいときだけに高原に避暑にくる感覚でいればいいと思っていることでしょう。
ついでに、周辺の森からは冷たくてきれいな水がため池に注がれてくるから、こんなに素晴らしい環境はないと思っているにちがいありません。

小魚を釣ったり池で水遊びをする子どもがいなくなったのはある意味残念ですが、それがこんな形で、別の生き物を呼ぶこともあるようです。

(Photo:信州の高原地帯にあるため池。周りには農地が点在しています)

(Photo:こんな森の中の小さなため池もカイツブリの憩いの場所です)

(Photo:カイツブリはこんな場所で抱卵しています)


(Photo:昨年の古い巣も水面に浮かんでいました)


(Photo:カイツブリの正面顔はまるで恐竜みたいです。)


(Photo:巣材を運ぶカイツブリの雄)


(Photo:水面で休むカイツブリ。水中の足を櫓にしています)

 



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コメント

  1. ブログ拝見しました。
    あの溜池にもカイツブリが来ているとは知りませんでした。
    毎年10月末頃には堤さらいをします。
    良かったら見に来てください。

  2. 大場さん  堤さらい…ぜひ観察にでかけたいです。アメリカザリガニもたくさんいましたし、ブラックバス…も。
    地域の水辺も劇的に変化してきておりますね。
    もっとも、カイツブリがそれらを餌にすることも変化の一つではありますが。

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